カイト・カフェ

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「日本の教育が世界を変えようとする」~令和はこうなる2

 令和になって確実に言えることのひとつは 外国人労働者が増えること
 そしてその子弟が学校にくること
 しかしそれは必ずしも悪いことではない
 子どもの教育を通して 外国人を日本に適応させることができるからだ
 きっとうまく行く ただひとつの不安要因を除きさえすれば
というお話

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外国人労働者が急増する】

「令和はこうなる」と確実に言えることのひとつは、外国人労働者の増加です。

 安倍首相は昨年2018年6月、経済財政諮問会議で「2025年までに50万人超の外国人労働者の受け入れを目指す」と発表し、今年4月からは改正入国管理法が施行されて、現在145万人と言われる在留外国人労働者が200万人になるのもそう遠いことではありません。

 その前提となるのは深刻な人手不足で、諸先進国、合衆国をはじめドイツ、イギリス、フランスといった国々も大量の外国人労働者を受け入れた上で今日の繁栄を謳歌しているのですから、日本もまたそうなるのは必定だったとも言えます。

 ただし、私などはその典型なのですが、古い人間の中には社会混乱や治安の悪化を心配する向きも少なくありません。
 外国人は犯罪を犯すというのではありません。しかし窮すれば貪するというように、日本人だって貧しい時代は常に犯罪と隣り合わせだったのです。外国人労働者を大量に受け入れてその対応に失敗し、不法就労が増加すれば危険な状況が生まれかねません。いやそれ以前に、文化衝突というものを考えるといかんともしがたい部分があります。


 イスラムのハラルや礼拝といった私たちが受け入れなければならないものも少なくありませんが、「郷に入らば郷に従え」の譬えのごとく、こちらのやり方に合わせてもらわなくてはならないこともたくさんあります。

 行政はそのための方策をたくさん打とうとしていますがそれだけでは十分ではありません。すでに大人になって労働者として日本に来る外国人を再教育する場はないからです。そこで注目されるのがその子弟です。外国人労働者とともに来日する子どもたちは、まだ教育の対象者です。

 

【日本の教育が世界を変えようとする】

 外国籍であろうとなかろうと、日本にいる子どもたちは当然学校教育の対象者として日本の義務教育学校に入り、そこで教育を受けることになります。

 1989年に国連で採択され日本政府も批准した「子どもの権利に関する条約」と、1990年に国連で採択された「すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約」が、外国人労働者およびその子どもたちの学習権を保障しているからです。
 日本国籍を持たないこと、あるいは外国人登録がないことを理由に、就学を拒否されたり日本人児童生徒と異なった処遇を受けることは禁止されています。

したがって外国人労働者のすべての子どもは日本の学校で算数・数学、理科、社会を学ぶことになります。そして注目すべきは、同時に交通安全教室や避難訓練に参加し、道徳の授業を受け、児童会・生徒会の活動をしたり部活動に加わったり、環境教育や平和教育、保健衛生などの学習をしなければならない――つまり日本の子どもが日本人の大人になる教育に、一緒に参加しなくてはならないのです。
 こうした事情は私たちに大きな可能性を感じさせます。

 

外国人労働者の子弟が日本人になる】

 しばらく前にJBpressに

jbpress.ismedia.jpという記事が載りました。すでに有料記事の枠に入ってしまったので簡単には読めないのですが、趣旨はこんなふうです。

 現代の中国の若者は子どものころから日本のアニメの大きな影響のもとに育ってきた。つまり日本的な文化的素養を持って大人になってきた。
 一つひとつ心を込めた丁寧なおもてなし、相手の心情を察した細やかな思いやり、不都合な結果に関して他者を責めず自らの努力不足を問う自責の念、外面的な一律の基準で定められたルールに反すること以上に自分の内面の良心に反することを恥じる恥の文化・・・。
 もちろん日本人でもこれらの精神文化を徹底して生きている人間はほとんどいない。
 ただ、そういう姿を見れば素晴らしいと思うし、完璧ではないが、自らもある程度は実践している人が多い。
(中略)
 そんな日本の伝統精神文化への共感を心の中に抱く中国人が、10代、20代で旅行や出張で1~2週間日本へ行くと、その精神文化の中で生きている日本人の世界に初めて出会う。
 すると、無意識のうちに自分の心が素直にその周囲の日本人と共に動き出し、自分の心の中に育まれていた思いやり、おもてなし、恥の文化などへの共感が形になって現れ出す。
 アニメを通じて幼い頃からなじみ親しんだ心のかたちを共有する人たちと心地よい時間を過ごす喜びを味わっている自分に気づくのである。

 実はそういった現象は以前から知られていたようで、
 中国人が欧米に留学しても中国人のまま帰国するが、日本に留学した中国人は半分日本人になって帰国すると言われている
そうなのです。

 言うまでもなく日本の思想の源流には中国があり、日本アニメもその影響から完全に自由なわけではありません。つまり中国人と日本人には根底でつながるものがあって、だからこそ影響の受けやすさも劇的なのでしょう。

 しかしその分を除いたとしても、日本のアニメに強い関心と憧れを持つ人々なら、すべての民族が同じように影響を受ける可能性があります。フランス人もロシア人も、そしてその他の国々人々も。

 

【世界が日本になる】

 おそらく近い将来、学校は外国人児童生徒の教育、そしてそれを通じた在留外国人の教育の責務を背負うことになります。ひとことで言ってしまえば、日本に来たばかりの外国人にやたら細かなゴミの分別を強制することは無理だが、子どもを通じて環境教育の側面からそれを果たすのは可能だということです。
 さらにそうやって教育された外国人師弟が、大人になって帰国することを考えると、それは日本的文化の育成輸出という側面も持ちます。

「水は低きに流れる」と言い、「悪貨は良貨を駆逐する」とも言います。しかし可能でありさえすれば、人は穏やかに、
 一つひとつ心を込めた丁寧なおもてなし、相手の心情を察した細やかな思いやり、不都合な結果に関して他者を責めず自らの努力不足を問う自責の念、外面的な一律の基準で定められたルールに反すること以上に自分の内面の良心に反することを恥じる恥の文化
の中で生きる方がいいに決まっています。
 きっとうまく行きます。

 

【ただひとつの阻害要因】

 ただしそんな前向きで明るい夢を、簡単に打ち砕きそうな事実があります。
 次の記事です。

mainichi.jp それによると、
 日本の公立学校(小中高と特別支援学校)に通い、学校から「日本語教育が必要」と判断されたにもかかわらず、指導を受けられていない外国籍児らが全国で1万400人に上っている。
(中略)
 支援が行き届かない背景には加配教員の不足がある。開示資料によると加配教員は全国に2224人しかおらず、8396校の30%に当たる2491校は指導者がいなかった。文科省は日本語指導が必要な児童生徒18人当たり担当教員1人を増員するとしているが、1校当たりの外国籍児らの在籍数は「5人未満」が7割以上で、対策が追いついていない。

 無支援というのはどういう状態かというと、担任が自前のスマホの翻訳ソフトを使って、同じ内容を日本人児童生徒と外国人児童生徒に繰り返して言い、インタビューアーよろしく外国人師弟の間を聞きまわっているということです。家庭連絡はわざわざ自費で購入したICレコーダーに録音して渡します。
 それでも辞書と首っききで手紙を書いていた10年前よりはずっとマシですが。

 外国人労働者50万人増加計画で、学校のブラック化はさらに進みます。それだけが問題です。
(“それだけが”という言い方は、もちろん皮肉です。それだけでも大問題ですし、すべて台無しにしかねませんから)