「愚者の石」1~渋谷ハロウィーン・とろサーモン、貴ノ岩・石橋和歩・・・

 

  渋谷のハロウィーンで軽トラックを横転させて騒いだ十数人の愚か者、酔って悪態をついてSNSに上げたお笑い芸人のとろサーモン久保田とスーパーマラドーナ武智、かつては暴力事件の被害者だったのに付け人を殴って引退せざるをえなくなった貴ノ岩、東名あおり運転事故の石橋和歩、この人たちの頭の中には「愚者の石」が入っているのかもしれない。

というお話。

 

f:id:kite-cafe:20181209160506j:plain

ピーテル・ブリューゲル「愚者の石の切除」)

 

【愚者の石】
 15世紀~17世紀のネーデルランド(オランダを中心とした一帯)には、人の頭の中に「愚者の石」と呼ばれる小石があって、それが大きくなると痴呆や狂人になるという迷信があったようです。しかしそれをまともに信じて取り出そうという人はいませんでした。
 タイトル画のブリューゲル「遇者の石の切除」はそんなインチキ話を信じて、本気で石を取り出してもらおうと集まってきた本物の愚か者を描いたものです。

 愚者は愚者ゆえにこんなふうに愚かなことを繰り返すのですが、先週は代わる代わる、毎日のように新しい愚者がニュースをにぎわしました。


【先週の愚者】
 まずは10月末の渋谷でハロウィーンの狂乱に乗じて軽トラックを揺らし、横転させて騒いだ十数人の愚か者たち。その中の何人かが特定されて、先週逮捕されました。

 4万人もの人ごみでは少々のヤンチャも見過ごされたかもしれませんが、あそこまで派手にやったらムリでしょう。自分たちに向けられた数百のスマホカメラが何千もの写真・動画を撮影し、周辺の250台余りの防犯カメラに記録が残されるというのに、なぜあんなことができたのか。――誰が考えたって100%捕まる話なのに、どうして平気で騒げたのか。私には一向に理解できません。

 二番目はお笑い芸人とろサーモンの久保田とスーパーマラドーナの武智
 そりゃあ人間、酔っぱらえば悪態もつく、悪口も言ったりする。しかしそれをSNSに投稿してはいけません。
 同じ文節の繰り返しですが、誰が考えたってそれはマズイだろう。しかも相手はお笑い界の西の女帝だ。それを承知でやったとも思えませんが、それにしてもなぜ止められなかったのか。

 三番目は貴ノ岩
 一年前の事件の被害者として世間の同情を一身に集めていたというのに、つまらないことをしたものです。

 思い起こせば一年前も、横綱白鵬に対する態度が悪かったからといって日馬富士に殴られた――そう考えるとあまり身持ちの良い人ではなかったのかもしれません。
 ニュース・ショーのコメンテーターによれば、「あのころは被害者だったから言えなかった」というということで不行跡は猶予されていたようですが、自ら加害者となってしまうとそんな猶予は吹っ飛んでしまいます。
 これから続々と悪事・悪行が表に出てこようという時、さっさと引退してしまったのは、その部分だけ少しお利口だったと言えます。

 そして四番目は東名あおり運転事故の石橋和歩被告。
 裁判の中で「高速道路上で車を止めれば事故になると考えなかったのか」と問われて「考えていなかった」と答えていますが、実際に本人が車外に出ていることを考えると、やはりほんとうに「考えていなかった」のでしょう。

 事故後も含めて前後4か月間に10件も同様のあおり運転を繰り返し、5回も警察沙汰になっていました。一度はパトカーにまで幅寄せしたとか。
 事故を起こした時も、同乗の女性がいくら「やめとき、あぶないけん」と言ってもまったく無反応であおり続けたといいますから尋常ではありません。

 同じ女性は一方で、
「信じてもらえないかもしれないけど、被告人は子どもとかおじいちゃん、おばあちゃんには優しかったし、好きやったと思う」
「信じてもらえないかもしれないけれど、被告人はうちには優しいんです」
とも証言しています。

 昔からやくざ者は身内と女・子どもには優しいものと相場が決まっています。ですからもちろん信じますが、そういった優しい面が一方にあるとしたら、彼の異常性はむしろ際立ってきます。
 なぜあんなことができたのか。


【4人の頭の中にある共通の「愚者の石」】
 こうして並べてみると、場所も時間も場面もまったく異なるのに、この四者からはひとつの共通点が浮かび上がってきます。

 それは特別な状況(群衆にあおられる、泥酔する、恥をかかされる、バカにされるなど)で、突然、必要な注意力、判断力、自己制御力がごそっと抜け落ちてしまうということです。

 何も見えなくなり感じられなくなり、自分の“思い”だけがすべてとなって、こちらに向けられたスマホカメラも、相手の謝罪の声も、制止する同乗者の声も、何も入ってこない。そして見通しもないまま、行き着くところまで一気に進んで止まらない。

 ――と、そこまで考えた時、この4人とはだいぶ異なりますが、先週話題となったもう一人の“理解しにくい人”に思いが至ります。

 それは月曜日(12月3日)の記者会見で自らの窃盗症(クレプトマニア)について語った原裕美子元日本代表マラソンランナーです。

                       (この稿、続く)