「心の中に鬼を置き、神を住まわせ」〜ビビリのハーヴをビビらせる

【絵本を紹介します】

 以前、孫のハーヴがとんでもないビビリで困ったもんだというお話をしました。

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 つい先日もテレビで「鼻かみ練習器」というものが世の中にあることを知って、まだ鼻のかめないハーヴに買い送ったのですが、練習するどころか母親のシーナが見本を見せたところでビビってしまい、使い物にならなかったみたいです。

 

 払った555円は惜しくはありませんが、これでは新しいことは何もできない――と改めて考え込んでいたところ、今度はまたテレビで、世の中に『「こわい」と「いやだ」がなくなる絵本』というもののあることを知って、その瞬間にネット通販で買って送ることにしました。おまけに自分用にももう一冊買ってしまった――。

 

 それが『大丈夫だよ、モリス』(カール=ヨハン・エリーン (著), 中田敦彦 (翻訳) 2018/9/14 飛鳥社)です。

 

 

【『だいじょうぶだよ、モリス』】

 アマゾンの紹介文によればこうです。

「子育ての“こんなとき、どうすればいいの?"をたった1冊で解決してくれる絵本です」  1週間の物語に、子どもも親も困りがちな場面を網羅!

 月曜日:新しい環境への不安

 火曜日:さみしい気持ち

 水曜日:虫など苦手な生き物

 木曜日:けがや痛み  金曜日:苦手な食べ物

 土曜日:暗闇への恐怖

 日曜日:月曜日から土曜日のおさらい

 そして巻末に、物語の心理学的な意味が解説されています。

 

 この絵本は“前書き”に「本書を最大限に活用するため、お子さんに読み聞かせる前に、一度ご自身で解説まで読み通すことをおすすめします」とあるように、どちらかというと親のための教則本みたいな感じで、子どもに読み聞かせるより内容を汲み取って実践に生かす方が得な本です。手品をするまえにタネ明かしをしてはいけないのです。

 

 タネというのは“あとがき”にもありますが、ひとつは「痛いの痛いの飛んでけ」方式で怖いもの嫌なものをうまく丸めて遠くへ送ってしまうというやり方、もうひとつは「相手にも生活がある」方式でつまり実態がよく分からないものを分かる形にしてしまうという方法です。

 そのやり方に熟達すれば、きっとさまざまな場面で役に立つのではないかと思いました。

 さらに折よくシーナがハーヴを連れて遊びに来てくれたので、いよいよ試してみるチャンスです。

 

 

【ビビリのハーヴをビビらせる】

 ところがこの三連休(三日目は東京都民の日)は台風がらみの悪天候で、屋外に怖いものがいっぱいあるハーヴも外遊びが一切できません。

 仕方がないので一日はハーヴの大好きな科学技術館で遊ばせ(だから怖いことはない)、あとは我が家や曾祖母の家で、慣れた屋内遊びばかりということになってしまいました(だから怖いことがない)。

 せっかく勉強したのに生かす場面がありません。

 

 それどころか久しぶりの田舎で絶好調のハーヴは、怖れを知らぬ活動ぶりで昼寝もしなければ夜が更けても眠ろうともしません。

 8時過ぎには寝室に入ったのに10分としないうちに母親を残して「眠れな〜い」と戻ってきます。あれこれ言い聞かせて寝室に戻すものの今度は5分もしないうちに戻って来て、そんなことを何回か繰り返すうちにシーナも根負けして、

「まあ今日は眠くなったら寝ることにしようか」

と言ってそこから一時間近く。

 9時もだいぶ過ぎて改めて寝室に連れって行ったのですがまたしても5分もしないうちに長さ1メートルもある新幹線のおもちゃをガーガーと動かしながら、ハイハイで廊下をこちらに向かってきます。

 目もらんらんと輝いてとてもではありませんが眠るという雰囲気ではありません。ジジとしてもお手上げです。

 そこでハーヴの前に静かにしゃがみこんで話しかけます。

 

「眠れないの?」

「ウン、寝れん」

「さっきからお母さんが何回も行っても眠らないよね」

「・・・・・・」

「ジジのところは田舎だからね、夜、眠らない子のところにはナマハゲが来るんだよ。『言うことを聞かん子はおらんか〜』『早く寝ない子はおらんか〜』ってね。ナマハゲ、怖いぞ」

 するとハーヴは「目がテン状態」(古いな)になり、新幹線を置き去りにして走って寝室に駆け込んでいきました。もちろんその夜は二度と居間に戻ってくることはありませんでした。

 

 子どもの成長の過程で「こわい」「いやだ」が全部なくなってしまったらそれも困りものです。

 

 小さいうちは心の中に鬼がいて、悪いことから子どもを守ってやらなくてはなりません。大きくなってからは心の中に神を住まわせ、誰も見ていないところでも善き行いができるようにしなければならない、それが普通の人間の生き方だと思うのです。