「ホンヤクコンニャクを手に入れて」〜自動翻訳機と小学校英語

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   夢だったドラえもんの万能翻訳機「ホンヤクコンニャク」がいよいよ現実のものになりそうです。
 8月11日(土)の朝の情報番組「ウェークアップ+(プラス)」では後半で、自動翻訳機に関する話題を扱っていました。取り上げられてたのは「イリ(ili)」と「ポケトークW(POKCKETALK W)」です。

 この二台は似て非なる装置で、それぞれこんな特徴を持っています。

【二種類の翻訳器】

《イリ》

  • ネットを介さないため瞬間的に翻訳を行ってくれる。
  • 重さ42gのスティック状で、持ち運びに便利。
  • 複雑な文章は訳せないことが多く、なるべく簡潔なセンテンスを選ぶ必要がある。 英語・韓国語・中国語の三か国語に対応し入力は日本語のみ。
  • ただし逆方向の装置も販売しており、例えば英語入力のイリを持った外国人とは双方向の会話ができる。
  • 価格は定価で19800円(英語・中国語・韓国語入力は24800円)
  • ili 公式サイト
  • 私は下のコマーシャルが好きです。

 《ポケトーク

  • 長文にも正確に翻訳可能なため用途が広い。
  • 対応言語は74か国。 ・双方向で翻訳できる。
  • ネット回線を通して翻訳するため、多少のタイムラグがある。
  • Wi-Fi環境がないと翻訳に恐ろしく時間がかかる。
  • 学習機能を持っているため次第に精度が上がってくる。
  • 本体24800円(専用グローバルSIMをつけて29800円)とややお高目。
  • グローバルSIMは2年間使用のため買い替える必要がある。
  • POKCKETALK W 公式サイト
  • ポケトークについては下のコマーシャルが参考になるでしょう。

「ウェークアップ+(プラス)」では最新の翻訳機の実力に出演者たちが驚嘆の声を上げており、サイトの方にも収録後、二つを手にしてあれこれ感想を言い合う場面が残されています。 (8月11日『翻訳機に夢中です!!』動画再生

  MCの辛坊治郎さんもポケトークを持っており、それまで独学でタイ語スペイン語を学んでいたのをやめてしまったという話をしていました。確かに横に74か国の翻訳をやってくれる機械を置いて、なおかつ外国語を習得しようという意欲を持ち続けるのは容易ではありません。独学ならまだしも、外国語学校に通ったら3万円以下では済まないでしょう。これから外国語を学ぼうという人にとっては大変な障害です。
 そこで思うのは小学校英語です。

 

【小学校から英語を学ぶ意味】

 私の中学校時代を思い起こしても3年かかって手に入れた英語はイリの足元にも及びません。たいていの日本人は中高6年かけて、やはり現在のイリの半分にも満たない英語力しか手に入らなかったでしょう。それをいよいよ小学校から始めるという――しかもイリもポケトークも、今後私たちをはるかに上回る速さで精度を高めていきます。子どもたちはそんな翻訳機の急激な進化を横目に見ながら、空しい学習を続けていくしかないのです。

 もちろん英語学習が全く必要ないとは思いません。
 スマホに計算機が組み込まれていても日常的には簡単な暗算ができないと暮らしにくいように、簡単な英単語や英語の構造が分からないと生活の隅々で引っかかります。巷にあふれる英語表記にいちいち怯えていたのでは話になりません。
 しかしそれは旧来の中学校からの英語学習で十分なはずです。何も小学校まで下ろして学ぶようなものではありません。

 かつて6年生までにすっかり差のつけられてしまった子どもたちも、中学校では英語くらいは頑張ろうと目を輝かせて入学したものです。英語だけは全員ゼロからのスタートでした。
 しかしこれからは頼みの英語ですら、ウンザリするほどの差をつけられて中学校に来ることになります。救いようがありません。可哀そうですね。
(もっとも心の中で「あいつら英語はできるかもしれんが、オレのポケットにはイリがあるぜ」とうそぶいていたりするかもしれませんが――)

 

文科省も認める“将来不必要になるプログラミング”のための教育と英語教育】

 文科省中教審配布資料「2030年の社会と子供たちの未来」には、 『2045年には人工知能が人類を越える「シンギュラリティ」に到達するという指摘もある』

という予言が書かれています(「きっとあの子たちは生きていけない」〜2030年の世界は - カイト・カフェ)。30年足らずで“コンピュータが自らプログラミングをする時代”が来るかもしれないと、文科省自身が言っているのです。そんな時代を目の前にして、今からプログラミング教育を進めるというのが新しい指導要領の方向です。
 小学校英語と並んでとんでもない時代錯誤だと思うのですがこれに反対する人はわずかです。
 恐ろしい事態が進んでいます。

《付記》  先に紹介した8月11日『翻訳機に夢中です!!』動画再生辛坊治郎さんが言っている「日本政府開発翻訳ソフト」は「ボイストラ」と言われるものです。31言語に対応する優れ者で私はこれをスマホに入れて、一時さかんに遊んでいました。しかし惜しむらくは、かれこれ一年近く経つというのに、ただの一度も実践的に使ったことはないのです。

 この間に外国人と話す機会があったのはたった一度だけ、しかも相手は宗教の勧誘に来た日本語ペラペラの外国人宣教師でした。
 普通の日本人にとって語学の必要性など、その程度のものです。