カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「胃を絞り、氷柱を背に差し込む」〜ノロ感染に苦しむ

f:id:kite-cafe:20200306081037j:plain

【乗り換え駅で】

 乗り換え駅で特急列車を待っているうちに、不意の便意があり少し迷いました。列車が到着するまでの6分間我慢できるかは自信がなく、その6分間でトイレを探して用を足してくることにも自信が持てない。もしかしたらガスかもしれないとも思ったのですが、試す勇気を持つには少々感じが違います。そこで、急ぐ旅ではなし、一本電車を遅らせてもいいやということで階段を駆け上ると幸いトイレは目の前で、さらに幸いなことに和式ながら個室が一つ空いていました。  爆発的な排便が一回、それで終了です。水で流れない部分をトイレットペーパーで簡単に掃除して、列車には何とか間に合いました。

 2時間ほどの電車旅の大半をトロトロと眠りながら過ごし(それも後から考えると珍しいことです)、終着駅で私鉄線に乗り換えて、自宅最寄りの駅に着くころには、さすがの私も危機感を持ち始めました。東京に比べて寒い土地柄とはいえ、その寒さがハンパではない。

 家についてストーブをつけ、いったんは「それでも今日が特別寒いということもあるかもしれない」とも思ったのですが、洗濯機に水を入れてたまった汚れ物を投げ込むころには完全に体が固まってしまいました。
 背中に太い氷の柱を差し込まれたようで寒さが尋常ではなく、胃がキリキリと痛み始めます。
 原因は明らかでした。
 そもそも東京に行ったこと自体がノロに感染した孫の支援だったのです。月曜日の夕方に向こうについて、火曜・水曜と子守をし、木曜日になって保育園にも行けるようになったので私は帰省する、その道すがらのことです。

 

【本格的に苦しむ】

 ノロについては私はかなり詳しく、医者に行っても何もしてくれないことは承知していました。しかしすぐに医者に行かなかったのは、そもそも車を運転していける気がしなかったからです。
 とにかく寒い、胃が雑巾のように絞られる、体の節々が油の切れたように動かず痛い。熱を測ると38・5度。ようやく布団に滑り込むと、むかし母から買ってもらったそれこそ羽のように軽い羽毛布団がやたらと重い、綿の布団を三枚重ねで被っているように重い、そしてその重さのためにまた体のあちこちが痛い、といた状態なのです。

 脱水も怖いので妻に経口補水液とそのゼリータイプを買ってきてもらい、それを口にしながら震えている。そして午前2時――。
 そこから始まったエンドレストイレは12時間たった今も収まりません。

 胃になにも入れないとキリキリ痛んで吐きっぽく、入れると下痢をする(金曜なのに水様便)。しかしこれは理にかなった話で、要するに体は消化器洗浄をしたいのです。体内からウィルスが全部排出されるまで、外から液体を入れ消化管を洗浄したうえで排出したい。したがって体内のウィルスの大部分が出るまで、この症状は治まりません。たぶん。

 

【以前も書きました】

 先ほど、ノロについてはかなり詳しいと書きましょうが、それは身近なところで3回も経験しているからです。  息子のアキュラがノロにやられた顛末は、kite-cafe.hatenablog.comに書きました。ただし家庭内のノロ感染というのは経験者も少なくないはずです。より大変なのは学校でのノロ感染。  その次第については、kite-cafe.hatenablog.comkite-cafe.hatenablog.comに書いてありますので、興味ある方はお読みください。

 

【学校の仕組と懐かしい教育長の話】

 あまり意識されませんが、公立小中学校というのは建物や施設は市町村、教職員は都道府県の所属になっています。教員はいわば市町村に“派遣”されているわけですが「労働者派遣法」の適用外ですから困った問題が起きます。それは命令指示系統が2重にあるということです。
 基本的には都道府県教委が市町村教委に指示を出し、それが教員に降ろされるという形をとるのですが、ときおり都道府県が直接教員に指示を出そうとすることがあり、混乱する場面も少なくないのです。

 しかし感染症問題については、平成8年の堺市O-157事件の教訓があるからでしょう、非常に明確な割り振りがあって、指示はすべて都道府県から出てくるのです。教育庁の保健課と繋がるわけです。学校からの報告も原則は保健課へ。市町村教委にはついでに出しておけばいいようなものです。

 10数年前の私の勤務していた市町村教委にもそうした認識はなく、一人一万円もかかるという検査費用の捻出に苦慮していた教育長は、それと知ると晴れ晴れとした顔で学校をあとにして、それ以後一言も口を挟むことはありませんでした。
 ものすごくうるさい教育長でしたので、その鮮やかな手のひら返しに、怒るでも呆れるでもなく、なにか質の良いコントを見たようで思わず微笑んでしまいました。