「葬儀のしきたりとカタログ・ギフトの話」〜それぞれのやり方。教師はやっぱりだめだなあとおもったこと。

 96歳で亡くなった叔父の話をしたついでに――。

 人間というのはいくら歳をとっても生きているだけで常に勉強させられるもので、葬儀ひとつに出席するだけでもこれまで出会ったことのないさまざまなことを経験し、いろいろなことを教えられます。
 例えば今回の叔父の葬儀は車で1時間ほどの、遠すぎると言えない程度の遠隔地でのことだったのですが、「サボサボ、モラモラ」以外にもびっくりするようなことがいくつもありました。

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 しかも困ったことに、それがその土地特有なものなのか、叔父の場合の特別なのか、あるいは葬儀社の特殊なやり方なのか、現代風なのか、わからないまま終わってしまったのです。
 ですからこの知識を利用してもいいものなのか、私の土地では避けるべきなのか、そのあたりもよくわかりません。
 まあ、葬儀では何が起こっても驚くに値しない、という警鐘程度にはなりますが――。

 

【納棺の仕儀】

 今回の叔父の葬儀ですが、まずびっくりしたのは納棺です。

 棺を遺体の横の移し、さあ納棺だと掛布団を外したら、そこには普段着を着た叔父の遺体があったのです。ゴルフの好きな人でしたので簡単なスポーツウェアです。
“故人の一番好きだった服で在りし日の姿をふつふつと思い出させる”という趣向らしいのですが、そんな趣を感じる前に「おい、寝る前はパジャマだろ!」と言いたくなるような姿です。
 さらに“普段着きちゃっているのに、これからどうやって旅支度をさせるんだ?”と思案しているとそのまま、「お棺に納めて下さい」。

 遺体の横たわるシーツに似せた白布には、取っ手がついていてそれを握って棺に移すのはよくあるやり方です。しかしそのあと、経帷子や帯、手甲・脚絆、足袋・草鞋、すべて遺体の上に乗せていくだけというやり方には驚きました。
 そんな簡便なことでいいのかよ――そんなことも考えましたが、遺体に足袋をはかせたり手甲をつけたりするのはいつも気の重い仕事でしたので、“まあ、いいや”とほっとした面もあります。黙って従いました。
 あとは全身を生花で覆えば終わりです。

 当日の葬儀については、とりわけびっくりしたことはありません。しかし「サボサボ、モラモラ」も含め、場所が違えば風習も違うものだと感心させられる面もなかったわけではありません。

 例えば参列者を、「葬儀の後のお斎に出席する人」と「そうでない人」とに厳しく分けるというやり方は前もって聞いていましたが、お斎に出る人たちが会場に入るといったん扉が閉じられてしまうのには驚きました。部屋の外に焼香のできる場所があるわけではありません。

 そこでどうなるのかと見ていたら、二人の僧侶が入場し、お経をあげ始めたらすぐに扉が開かれて一般参会者が順次入り始め、祭壇の前でお焼香をして喪主さんたちに一礼をし、そのまま別の扉から出て行ってしまったのです。私たちはまだ何もしていません。
 一般参会者全員が済むと再び扉は閉じられ、あとは普通の段取りです。

 私のところでは会場外に別の簡素な祭壇があり、葬儀やお斎に参加しない人たちはそこでお焼香をします。ですから喪主さんたちに気を使わせたくない程度の付き合いの人たちは、わざわざ遅れてきて、顔を合わせずに焼香して帰ったりします。その方がいい場合もあるのです。
 余計なことですが、今回のようなやり方では一般参加が200名、300名となる大きな葬式では延々と扉は閉まらず、困ったことになるのじゃないのかと、そんなことも考えました(そうした場合、いったいどうなるのだろう?)。

 今回学んだことはだいたいそういったことです。しかし家に帰って、さらに追加で学んだこともあったのです。

 

【カタログ・ギフト詐欺】

 香典返しが「即日返し」である点は私のところも叔父のところも同じです。最近ではカタログ・ギフトで受け取ることが多くなっています。
 いつもは妻に任せて適当に好きなものに換えてもらうのですが、今回は何か違和感があって私自身が調べて選ぶことにしました。違和感というのはカタログの冊子に、妙な高級感があったのです。
 で、よせばいいのに値段を調べたら、これがなんと10600円もするもの。いつもは5000円とか3000円とかいったものなので、なかなか気合が入ります。必要なもので最も得するもの、最も値段の高いものは何かと、それこそネットにかぶりつきで調べ始めたのです(よせばいいのに)。

 そのうち不思議なことに気づきます。交換できる品物がどれもこれも5000円以下、大体4000円台前半といった感じなのです。
 喪主さんは10600円も払って中身は5000円以下なんて、それこそ詐欺みたいなものじゃないですか!!

 

【カタログ・ギフトの仕掛けと対処】

 そこでカタログ・ギフトがどうなっているのか、そもそもそれって何なのか、検索にかけてみると一番上に出てきたのが「カタログギフト最大43%割引」の広告。

「え? そんなに割り引かれるの?」
ということで、すぐに「カタログ・ギフト 割引」で検索し直すと、出てくるわ出てくるわ、
「最大40%超割引」
「最大47%オフ」

「50%引き」
「51%割引」・・・・。
 要するにそういう世界なのです。

 きっと喪主さんも「2割引き」とか言われてひとつ8000円程度で購入したのでしょう。でもネット通販を考えると葬儀社は5000円〜6000円で仕入れているはずですから、それだけでも2000円〜3000円は儲けていることになります。
 最近は葬儀社どうしの価格競争も厳しいようで、葬儀一式は安く仕上げてくれます。しかしこんなところでちゃっかり儲けているのかも知れません。

 ちなみに葬儀は多くの場合、急でゆとりがりませんから言い値で従うしかないでしょうが、結婚式は違います。じっくり計画する中で、引き出物にカタログ・ギフトを使う場合は通販で購入し、会場に持ち込むというやり方をするカップルも多いそうです。

 もちろん持ち込み料は取られます。しかしそれとて500円程度。
 親族用の1万円のカタログ・ギフトを式場で2割引きで購入する(たぶんそんなには引いてくれないと思うけど)場合と、通販で4割引きで買って持ち込み料を払う場合を比べると、差額はひとつにつき1500円。10名で15000円です。
 一般用5000円のカタログ・ギフトだとひとつに500円の儲けにしかなりませんが、50人で25000円。総額40000円も浮いてくるのです。
 さらに式場が1円もまけてくれず、通販で5割引きに出会ったとすると総額で14万5000円も浮いてくる計算で、それで料理をワンランク上げれば式場も文句はないでしょう。

 世の中にはこういうことをすぐに思いつき、早い時期から計画立てて実行に移してしまう人がいます。それもたくさんいます。

 関係ないのかもしれませんが、「教員(および元教員)はやっぱりだめだなあ」と思うのはこんなときです。
 結婚式を1円でも安く仕上げようと調べたり聞いたりする 時間があるなら、教材研究や報告書の作成に当てた方がいいと本気で考え、実際にそうしてしまうのが教員ですから。