カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「『ポケモンGO』一周年のまとめ」〜ポケモンは世界を救うか?

 息子のアキュラが友だちと一緒に公園を抜けて、自分のアパートに帰ろうとしたら、途中で中年の男性(アキュラは“おっちゃん”表現した)にドスの利いた声で呼び止められ、
「ちょっと兄ちゃんたちヨォ」
(・・・・・・)
 グッと身構えて、さあ、何が来る?
「アンタら、ポケモンGOやるか?」
 その一言でまるっきり先が読めなくなり、かえって凍りついたそうです。
ポケモンでイチャモン?)
 二人で顔を見合わせ、オロオロしていると、
「すまんが兄ちゃんたち、一緒にフリーザー倒してくれよ」
(???)

 最近のアップグレードで、「ジム」と呼ばれる場所に伝説のポケモンが現れるようになり、それがめちゃくちゃ強くてひとりでは太刀打ちできないのだそうです。そもそもが数人で対戦するよう設定されていて、人通りの多いところならその場で(ゲーム内で)自然と参加者を集められるのですが夜の公園ではそうはいきません。そこで「兄ちゃたち、一緒にフリーザー(という名の伝説ポケモン)倒してくれよ」ということになったようなのです。

 夏の夜の都会の片隅で、知らない“おっちゃん”と一緒に必死にポケモンに立ち向かう学生二人――「すばらしい」とも「ほのぼの」とも言えない妙な風景ですが、それはそれでなかなか悪くない光景だ、そんなふうに私は思いました。

【「ポケモンGO」の現在】

 ポケモンGOも7月末でリリースから一年。
 最初の熱狂はやはり冷めて、今も遊んでいる人たち(アクティブ・ユーザーというらしい)は400万人台。昨年7月の1100万人から比べると半分以下になってしまいました。
(2017.07.22「ポケモンGOリリースから1年!熱狂したユーザーはどう変わった?」
 しかしそうはいっても400万人台。ゲームアプリ・ランキングの堂々たる第2位です。

 しかも驚いたことに、上の記事によれば、
 利用者層を見てみると、40代以上のユーザーがほぼ半数を占める結果となり、ポケモン世代である20代、30代とほぼ同数という結果となっている。また、アプリを起動している日数が月に25日以上というヘビーユーザーも40代以上の割合が6割近く。
 たしかに他のアプリと比べるとゲームのペースがゆったりしていて中高年でもついていきやすいところがあります。捕獲したいポケモンがあってもそれと出会えるかどうかは「運」しだい、つまりゲームスキルがすべてではなく、運がなければことが進まないという不確定要素も年寄り向きです。
 かくして見知らぬ“おっちゃん”が、ポケモン欲しさに若者に近づくという珍事も起こります。 悪くないですね。

【「ポケモンGO」は世界を救う、かも?】

 さて、今回改めて「ポケモンGO」について話そうと思ったのは、先週ネットニュースに(2017.09.07「ポケモンGO、労働者のストレス軽減 初の科学的検証」 朝日新聞デジタル)という記事が出ていたからです。
 それによると、
 日本に住む20代から70代の正規雇用の労働者2530人について調べたところ、ポケモンGOを1カ月以上続けてプレーしたことがあると答えた246人は心理的ストレスが1年前より減っていたが、残りの2284人はほぼ横ばいだった。
(中略)
 これまでポケモンGOは抑うつ状態や引きこもりなどの解消に効果があるという説はあったが、科学的根拠のある検証はなかった(中略)「外出し、人との交流や身体活動量が増えることが改善の主な理由と考えられる」

 私は昨年7月「『ポケモンGO』〜ピカチュウは医療費問題と引きこもりを救う(かもしれない)」 - カイト・カフェ」中で、「ポケモンGO」が寝たきり老人をたたき起こし、引きこもり少年を屋外に引っ張り出す可能性について記しました。
 そのあと一週間もしないうちに「やっぱだめかも知れん」(「ポケモンGO!」2〜「真田 de GO!」 - カイト・カフェ)と考え直していますが、国の医療費を下げるまでには至らなくても、「ポケモンGO」にはやはり予期しない効能があるのかもしれません。
 なんとなくうれしいですね。
*追記  そう思って「ポケモンGO」を開いたら、近くのジムにこんな風景がありました。

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 順次ジムを訪れた人が6人、次々と手持ちのポケモン置いて行くのですが、そのときわざわざピンクのものだけを選んで置いたようです。  見知らぬ人たちの無言の連携を感じて、再び何かうれしくなってしまいました。