カイト・カフェ

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「夏休みの一研究」〜枕を高くして寝る

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 2〜3年前から肩こりがひどくなっています。
 と言うか、朝起きると激しい肩凝りがしていて胸から上が動かないのです。しばらく体をゆっくりと動かしているとたいていはそのうちに治ってしまうのですが、ひどいときには片方だけ、午後まで痛みが続くこともあります。しかし寝ている最中に力仕事をしているわけでもないし、なぜ朝だけなのか、よほど悪い姿勢で寝ているのかもしれないと思ったりもしていました。

 ところがある日テレビの健康番組で同じ症状が紹介され、やはり寝相に問題があることが分かったのです。悪い姿勢でなているのではなく、良い姿勢のまま(多くは真上を向いたまま)一晩を過ごしているらしいのです。それでは肩も痛くなるわけです。
 普通はそうではありません。夏休みに帰省して昼近くまで眠っているアキュラの様子を見ると明らかなのですが、とにかく若い人は一晩中、と言うか寝ている間中忙しい。
 右を向き、左を向き、うつ伏せになって時には膝を引き込んで団子状態になり、上を向いて本当に「大」の字をつくったり、そうかと思うと右手を高く伸ばして「イェーイ!頑張ろうぜー!」みたいな恰好をしたり、とにかく落ち着きません。そのうち布団からはみ出してしばらくすると戻ってきたりします。
 ところが私と同じように肩こりと腰痛のひどい妻を見ていると、夜中のいつ気づいても容器に納まるツタンカーメンみたいに微動だにしないのです。良くて膝を上げているくらいで上体が全く動いていない。それが齢というものです。

 なぜそうなのかと言うと(テレビの番組によると)要するに寝相のいい人は多少動いてもすぐに戻ってしまう、横向きに寝ようとしても顔が動くだけで肩が行かない。持ち上げる肩は動いてても引き寄せる反対の肩が体の下に入っていかないのです。それだけの力がないということなのかもしれません。おかげで寝ている間じゅう寝返りに失敗し続けて、結局同じ上向きの姿勢に戻って、だから朝起きたときに体が痛くなる――そういう仕組みらしいのです。
 ではどうしたらよいのか。

 ひとつ考えられるのは「寝返りのための筋肉」を鍛えること、もうひとつは引き寄せる肩が体の下に入るよう、枕を高くして首と敷布団の間に空間をつくってやることです。
 しかし筋肉をつけるのには時間がかかりますから――正直に言うと筋トレなんかさっぱり好きではありませんから――そこで私は高枕方式を追求することにしました。まず自分の体形に関する検討をします。

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 私は肩幅が38cmとかなり狭く、頭部の幅は18cmとけっこうあるので、理論上は(38−18)/2で、10cmの高さがあれば枕に乗せた頭を支えに、クルッと肩を回すことができるはずです。しかし枕をしたまま横向きになると当然首が曲がってしまいますからさらに高さが必要になります。

 そこで頭で抑えた状態で13cmほどの高さの枕にするため、タオルケットを四つ折りにしてその上に枕を載せ、全体をさらにバスタオルで巻いて即席の高枕とします。あれこれやってみた結果、高さを18cmほどにすると5cm沈んで13cmになることが分かりました。これで寝たらどうなるのか。

――驚いたことにこれで本当に肩こりをせずに起きられたのです。
 最初は高さのために首が痛くなるのではと恐る恐るだったのですが、そんなことはありません。まったくどこも痛むことなく、清々しい朝が迎えられます。
 考えてみれば「枕を高くして眠る」というのは「安心して熟睡する」という意味の慣用句です。昔の人は知らず知らずのうちに高い枕こそ熟睡の元と気づいていたのでしょう。すごいですね。

 ただし深酒をして寝た夜や暑くて寝苦しい夜などは知らないうちに枕から落ちてしまい、まったく枕のない状態で目覚めたりします。そうなると肩こりもハンパではありません。
 来年の夏休みの一研究は「それでも落ちない安心枕の開発」ということにいたしましょう。