第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)に生まれ、文化的・思想的な共通性をもっている世代のことを「団塊の世代」と言います。いまようやく70歳になろうという人から68歳になる人たちがそれにあたります。
【団塊の青春】
戦場から復員してきた若者が次々と結婚し親となったときに生まれた子なので「第一次ベビーブームの世代」とも言われ、同窓生は莫大な人数になります。小学校に入学すると一クラス50〜60人で一学年十数クラスといったこともざらであり、最初からすし詰め状態で激しい競争にさらされ続けた人たちでもあります。
高校受験で叩かれ、大学進学の際は「5当6落(5時間睡眠だと受かるが6時間寝るやつは落ちる)」といった受験文化をつくったのもこの人たちです。それだけ苦労して入学したのに学生運動で大学をボコボコにしたのもこの人たち、のちに浅間山荘事件やハイジャック事件を起こすのもこの年代です。
もっとも当時の大学進学率はせいぜいが15〜20%ですので、大部分の団塊世代は勤労者として成人式を迎えています。
その多くは高度成長の人手不足の中での就職者ですから「金の卵」ともてはやされ、大切にされた人たちです。洋楽に触れ、ビートルズやローリング・ストーンズを熱烈に支持したのが彼らです。日本ではグループサウンズを前面に押し出し、フォークソングを支え、日本で最初のロックンロールを生み出した人たちでもあります。
【団塊のカッコよく、呆れた人々】
芸能界で言えば沢田研二、矢沢永吉、松崎しげる、吉田拓郎、井上陽水、小田和正、泉谷しげる、谷村新司、武田鉄矢、やしきたかじん、寺尾聰、布施明、由紀さおり、泉ピン子、西田敏行、市村正親、松田優作、舘ひろし、北野武、間寛平、高田純次、志村けん、稲川淳二、蛭子能収、小倉智昭、テリー伊藤、久米宏。
古いはずの演歌の世界でさえ森進一、五木ひろし、瀬川瑛子。
政治家では小泉純一郎、鳩山由紀夫、鳩山邦夫、鈴木宗男、舛添要一。
学術分野からは荒俣宏、亀山郁夫、糸井重里、村上春樹、赤川次郎、北方謙三。
スポーツ選手で・星野仙一、衣笠祥雄、藤田平、江本孟紀、堀内恒夫、江夏豊、村田兆治、ジャンボ尾崎、アニマル浜口、ガッツ石松。
その他、植田まさし、Mr.マリック、たかの友梨、高田明
どんだけカッコウいいんだ! どんだけアクが強いんだ! と言いたくなるようなメンバーです。
【団塊の朱夏と白秋】
そのカッコウよく、アクが強く、60年代後半の多彩で多様な文化を創造した人々がオイルショックで冷え込んだ社会に出るとき、髪を切りヒゲをそり、あれほど嫌ったスーツを着てネクタイを締め、倒すべき目標だった資本主義の先兵として一色に染まって行ったのです。
彼らこそが「モーレツ社員」のハシリであり、40歳前後の働き盛りにバブル経済を生み出し、弾けさせ、そののち役員として「失われた20年」を担ったのです。もちろん平成不況のあいだじゅう、彼らは社会の中核として、むしろ豊かな側にいました。
私は彼らを糾弾する者ではありません。激しくあこがれ、嫉妬し、恨みに思う者です。
(この稿、次回最終)