カイト・カフェ

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「真実はネットの中にある」②

週刊現代」今週号の新聞広告を見ていたら、見出しに、
「こいつ、本物のバカかもしれない トランプの日本口撃が怖すぎる」
というのがあってちょっと笑ってしまいました。週刊誌には新聞やテレビより自由なところがあって一歩踏み込んだ報道をします。とりあえず週刊誌レベルでは私と同じような見方をする人が堂々と発言できるまで事態は醸成したのかもしれません。ただし新聞やテレビがトランプはほんとうにおかしいと本気で言い出すには、もう少し時間がかかりそうです。
 さて、

【ネットの中に仲間がいる】

「ネットの中じゃずっと前からトランプはバカだって言ってるわよ。ツイッターでウケを狙っているうちに大統領になっちゃったって」
というシーナの言葉を確認しようとしばらくあちこち探してみたのですが、うまくアクセスできていません。
 しかし「(トランプは)ツイッターでウケを狙っているうちに大統領になっちゃった」と考えている人間が相当数いるのは確実です。なぜならこの国だけでも1億2700万人もの人間がいるからです。

 私の考え方がとんでもなく特殊で、仮に1万人に1人しか持たないようなものだったとしても、人口が1億2700万人の日本には同じ考えを持つ人が1万2700人もいるわけです。赤ん坊も含めての数字ですからさらにその中の1%だけが意味ある発言者だとします。それでも127人が私に与してくれる――。
 ネット時代以前にはその“1万人に1人の声”を聞く機会はほとんどありませんでしたが、今やネット社会、彼らはいくらでも声を上げられます。ひとりが一言ではなく、たくさん叫びますから、見かけは無数の声というふうになります。

【ネットの中には何でもある】

 ネット社会は内容的にも多岐にわたります。
 今となってはかなりマイナーな話題――例えば“NASAによる月面着陸は嘘だ”という話についてグーグル検索するとなんと約144,000件もヒットします。

 1947年に米軍がUFOを回収したと言われる“ロズウェル事件”については約110,000件、もっと胡散臭い“上杉謙信は実は女だった”というような話についても約400,000件もヒットするのです。

 “フランスの片田舎のルルド聖母マリアが出現した”という“ルルドの奇跡”については約346,000件。聖母出現を信じる人はその中から肯定的な記事だけを手繰っていけばそれだけで“奇跡”は現実のものとなります。逆に信じない人は否定的な記事ばかりを紡ぎ出せば強固な否定論ができあがります。

 しかしこれらについて新聞やテレビで調べようとしたらたいへんなことになります。「上杉謙信は女だった」などまず出てこない。

 ほしい情報はネットに行って探してくるしかありません。そして行けばほぼ確実にあるのです。

【私もネットの中に“真実”を置いてきた】

 考えてみると18年前、私が自分のウェブサイトを立ち上げたのは、マスメディアの垂れ流す教育情報がウソだらけだと憤ったからでした。
不登校は学校の厳しい生徒管理と受験競争が原因」
「日本の子どもの学力はアジアで最下位」
「すべての子どもがいじめの被害者にも加害者にもなりうる」
「良い子が危ない」
ゆとり教育が日本をダメにした」
・・・・・・・・・
 それに対して、時には学校現場の実情を話し、あるいは事態を解釈しなおして説明し、数値やグラフで示したり、生の声を取り上げたりと、あの手この手でマス・メディアやそこで発言する“識者”“専門家”の間違いを指摘し続ける、それが私のやりたかったことで、実際にしてきたことです。
 まさに「真実はネットの中にこそある」という立場で行ってきたわけです。

 しかしそうでありながら、一方で教育以外の部分では、案外素直にマス・メディア情報に従ってきた面があります。マスメディアを批判しながら、しかし大枠ではむしろ信じてきた。

 それはどうしてなのでしょう?

(この稿、続く)