カイト・カフェ

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「参議院選挙終わる」①〜投票証明書

 選挙に行って「投票証明書」というカードをもらってきました。もらってきたといっても入り口に山積みになっていたのをペロンと持ってきただけのことです。名刺大で美しい風景写真と市のキャラクタが描かれています。裏には今後予想される選挙日程が書いてありますが、そのくらいであとは何の役に立つか分かりません。毎回何となくもらってきては何となく捨てているものです。

 ところが今年、そのカードを見ながら素晴らしアイデアが閃いたのです。
 そうだ、このカードを持っていけば商店街で割引になるとか、ラーメン屋でギョーザがサービスになるとか、書店で可愛い栞と交換できるとか、そんなような仕組みをつくってしまえばいいのだ。そうすれば投票に行った人には行っただけの利益が生まれ投票率も上がる。店も投票率向上の協力店ということで評判も上がり客も増える。映画館なんて客がひとりしかいなくても上映しなくてはいけないのだから空気に見せておくくらいなら5割引きでも席が埋まれば儲かる、閑古鳥のなく商店街が潤う、選挙に協力したうえで大儲け! こんな素晴らしいアイデアはない、なぜ誰も思いつかないのだろう!?

 ――昔ならそんなふうに有頂天になるに任せるところですが、歳を食うとそれなりの知恵もついてきます。
「私が思いつくようなことを1億2700万人もいる日本人の誰一人気づかないなんてあるはずがない!」

 早速調べてみるとやはりそうでした。
「古くは、保守的な地方において有権者が投票に行ったことを確認するために玄関口に張らせるなどの行為が行われていた。(中略)また商店街などでは投票率アップの為に証明書を持参した客に対して割引などのさまざまなサービスを行っているところもある。/こうした証明書を利用したサービスの展開は好意的に受け止められる一方で、一部の選管においては投票啓発運動と営利活動は分けて行われるべきであり、サービスは控えるべきであるとの意見も存在する」Wikipedia「投票済証明書」
 なるほどね。
 しかし時代は変化しているのです。誰も損をせずにみんなが得をする話です。ぜひもう一度考えてみたらどうでしょう。

 さて、選挙が終わればそれなりの感慨や思いも生まれてくるのではないかと思っていたのですがそれがさっぱりありません。結果は自公圧勝。民進党は「前回の参院選よりはずっと良かった」と胸をなでおろしている始末で共産党も伸びを欠いた――だいたい予想通りす。しかし戦後初めて衆参両院で改憲派が三分の二ずつを越えたという点で歴史的な選挙です。それなのに心がまるで動かない。動揺も感激もない、ただ通り過ぎていく……何か変だなあと思っていたらアメリカのメディア(どこか忘れましたが)が、
「日本国民は民主党政権の失政を忘れていない。その意味で選択肢のほとんどない選挙だった」
と解説していることを聞きました。中国のメディも同様のことを言っています。

 ああそれなんだと私も思います。私は積極的な自民党支持者ではありませんが社会主義乃至は共産主義の信奉者でもありません(だから日本共産党の支持者でもない)。しかし民主党政権にトラウマを持っていることは確実で、そこにこだわると選択肢は確かに極端に狭まってしまうのです。結局は自公に投票するか、小さな野党の中に何とか自分に近い考えを探すしかない、しかしそれも難しい――。

(この稿続く)