マイク真木の息子である真木蔵人が、女性に対する暴行容疑で逮捕されたそうです。
真木蔵人は「俳優としてすばらしい才能を持っていた」とか「独特の用語の使い方で、プロからも一目置かれるコラムニスト」だとか、「全日本選手権で3位に入ったこともある(一説には連続優勝したこともある)プロ・サーファー」だとかさまざまな言われ方をしますが、私に言わせれば単なる暴力男です。
1993年、二十歳の時にモデル女性との間で子どもの認知を巡る争いがあり、その際女性は会見で、日常的に暴力を振るわれていた事実を明かしています――「殺される寸前だった」。
また2003年には都内の路上で男性2人ともめ、双方が「暴行を受けた」として被害届を出すトラブルを起こしています(真相は分かりませんが、のちの双方取り下げています)。
そして今回が三回目。ついに逮捕です。
私は、その俳優としての業績もコラムニストとしての仕事ぶりも、サーファーとしての実力もまったく知らないのですが、実は真木蔵人に特別の思い入れがあります。それは教員になりたてのころ、今で言うイクメンの走りである父親マイク真木の子育て論が、マスメディアでさかんに持てはやされていたからです。
彼は現在も講演会のジャンルに「子育て」を入れていますし、これまでに少なくとも2冊の子育て本を書いています。
残念なことに当時テレビで何を語ったのか、私は具体的に覚えていません。しかし今、彼の書いた育児書の目次を読むと、大枠でどんな内容だったか想像がつきます。
「ジーンズとポケバイ マイク真木の子育て奮闘記」(1983)
- わが家はドロ、クソ、ガキだらけ
- ファミリーレストランで大騒ぎ
- ずぶぬれだってかまいやしない!!
- パパの子は三歳で自転車に乗れる
- どんどんバイクに乗れ
- パパもおゆうぎだけはやらなかった
- 仕事場に子どもを連れていく!
- 長男が盗みをやった・・・
- またやった! パパとママが大喧嘩
「親父塾―私のアウトドア子育て奮闘記」(1988)
第1章 親父は子供のスーパーマン
第2章 可愛い子にはケガをさせよ
第3章 親のいうことを聞く子供は気味がわるい
第4章 学校で教えることのレベルの低さにはあきれてしまう
第5章 狩猟民族のような“やさぐれ”がタフな精神を育てる
第6章 蔵人・14歳の元服儀式は苛酷なラリー
第7章 僕は絶対にステージパパにはなれない
また、マイク真木が子育ての何を語ったのか、検索にかけていたらこんなブログ記事もありました。
日曜の朝、フジテレビの7時に マイク真木親子が三人で対談をしていた。
マイク真木は 子供たちに バイクとナイフを与えたと言う
小さい頃から 使い方を覚えることで 間違った使い方をしなくなるようにと
生き方を自分で見つけられる人になってほしいからとの事だった。
(おじさんナースのモノトーンな日々 2009.09.22)
2009年といえば蔵人が2度にわたって問題を起こした後の話です。この時期にも子育ての何たるかを語っていたのです。
- 学校で教えることのレベルの低さにはあきれてしまう
- パパもおゆうぎだけはやらなかった
- 親のいうことを聞く子供は気味がわるい
- ファミリーレストランで大騒ぎ
- どんどんバイクに乗れ
- ナイフを持て
幼稚園も学校もロクなことを教えない(から真面目にやらなくていい)、親の言うことも聞かなくていい、公共のルールも守る必要はない――メディアは、なぜこんなものを持ち上げていたのか。
ついでに、
私が教員になった1980年代初頭は、学校の荒れが問題となると同時に不登校も顕在化していった時代です。その時期、話題となった芸能人の教育論が三つあります。
ひとつは今あげたマイク真木の教育論です。
ふたつ目は漫才師の横山やすしの教育論で、彼もまた育児書・教育書を書いています。
『文句あるなら云うてみい―気骨ある子をつくる法(1984)
『親に一言、子に一言、世間に一言申します』(1985)など
その結果、横山やすしはどんな子を育てたか――彼の息子は木村一八という名で芸能界にいました。
そして三つめが「積み木くずし」の穂積孝信。
穂積については4年ほど前に書きましたの機会があったら読み直してみてください。
なお、「真木蔵人はどう育てられたか」はたいそうな表題ですが、私の大好きな教育書「ヘレン・ケラーは同教育されたか」のもじりです。カウンター・パートとして当てて置きます。