カイト・カフェ

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「日本が汚れる」⑤〜詐欺師たちの宴

 2022年東京オリンピックのエンブレムが白紙撤回されました。国立競技場の建設計画白紙化とともに国家的事業にケチがついたようで本当に残念です。

 あのデザインについて、個人的にはベルギーの劇場のエンブレムの盗用というのは無理があると思います。全体の印象が違います。ただしその原案がドイツのタイポグラファーの展覧会ポスターに酷似しているというのは頷けます。
 ただしそれとてプロに言わせると剽窃かどうかは微妙なところだといいます。なにしろ単純な色と形の組み合わせですからバリエーションには限界があるのだそうです。

 もっともそれ以前に佐野研二郎氏の身辺は胡散臭すぎるというのは誰もが一致した感想でしょう。サントリービールの賞品バッグの盗用問題や空港ロビー写真の無断転用の問題など、プロにあるまじきいい加減さで、オリンピック・エンブレムが盗作かどうか以前に、人格的な問題を感じます。このままではとてももちそうにありませんから、その意味で白紙撤回はよい判断だったと思います。

 ところで、“プロにあるまじきいい加減さ”で思い出すのは、STAP細胞小保方晴子さんです。STAP細胞が存在するか研究不正があったかという以前に、あんなスカスカの研究ノートしか残させなかった段階ですでにアウトでしょう。最初から話になりません。
 私自身は小保方さんを悪意ある犯罪者とは思っておらず、無邪気なリケジョだと考えています。視覚的にさっぱりはっきりしないSTAP細胞をもっとはっきり見せてやろうと、手元にあったES細胞を「ちょっと入れておいた」だけなのです。
「どうせSTAP細胞はあるのだからその程度いいじゃない」
 しかしいいわけがありません。家の台所で隠し味にケチャップを少々入れたのとは話が違うからです。

「日本のベートーベン」佐村河内守(私の義兄はこれを“さむら かわちのかみ”と読んで「スゲー名前だ」と思ったそうですが)氏の事件は、エンブレム問題やSTAP細胞問題に比べると少し規模が小さくなります。世界を相手にした大事件という程のことはないからです。しかしはるかに悪意に満ちて詐欺めいたものでした。
 NHKの特番で取り上げられ、「交響曲第1番HIROSHIMA」もクラシックの新作としては異常な売り上げを記録し、長髪に口ひげ、サングラスといった佐村河内氏自身の見栄えの良さもあって大いに評判になったものです。それがすべてウソであり、ゴーストライターが名乗り出てカンニング竹山似のオッさんが謝罪に現れるに至って、全国民がズッコケるようなショックを受けたのです。

 すでに大昔のことのように感じますが、佐村河内事件はSTAP細胞とともに昨年の出来事です。エンブレム問題と合わせて、わずか2年の間に脛に傷持つ人間が世界を大向こうに回して堂々と立ち回りを見せたのです。私はその恐れのなさに震えます。

 三人とも十分な大人で、事態の先が読めずにネット上に殺人予告を書き込む中学生ではないのですから。