カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「男の子の育て方」①

 結論を先に書きます。
 男の子の育て方、それは「分からん」の一言です。身も蓋もない話ですが、たくさんの男の子を見てきて、さらに自分でもひとり育てて、その答えは「分からん」しかありません。とにかくバカなので対応が難しいのです。

 居間の壁紙を張り替えることにしました。22年ぶりのリフォームです。我が家はいまだに反射式のストーブがあって冬は妻がその上で煮物などをしたりしていますから、汚れも半端ではありません。ストーブが背にしている壁はすすけ、天井も灯りをLEDに替えたら古い照明器具のあとがくっきり浮かんでいたりします。リフォーム代はもったいないですが、ネットで調べたら「壁紙の張り替えは7〜8年が目安」とか書いてあったので諦めました。

 居間には実は10年ほど前から大きな問題があったのです。それは居間に面した台所のカウンターの写真の部分です。

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 気がつかなければそれまでですが、一度気がつくとずいぶん苦になるものです。さていったいこれは何なのか。実はこういう物語があります。
 十数年前、まだ息子のアキュラが小学校4年生くらいの時です。

 ある日アキュラはマジックインキを使って遊んでいました。使うたびにキャップをすればよかったものを開けたままカウンターに置き、フッと目を離したすきに落ちて壁紙に線をつけてしまいました。きれいな壁面に黒々と跡をつけてしまい、アキュラは困惑します。そして閃いたのです。
「そうだ!マジックインキは油性だ。油で溶けばいい!」
 そこでアキュラは勝手口にあった灯油タンクからティッシュで油を吸い取り、それで壁を拭き始めたのです。ところが汚れは消えるどころか、広がる一方です。そして彼は閃いたのです。
「そうだ! 灯油が乾かないうちに、火をつけて汚れごと飛ばしてしまえばいいのだ!」
 かくてアキュラはマッチを持ち出し、火を点けて壁に近づけます。思った通り灯油はパッと燃え上がります。意外に火が大きかったので慌てて叩き消します。おかげで火事にはならずに済んだのですが、何とそこには広がったインキの上に焦げ跡までついてしまったのです。
 アキュラは考えます。「もうこうなったらきれいな壁紙と張り替えるしかない!」
 そこで汚れた部分をカッターで切り取り、家の中でもっとも目立たない階段横に行ってそこから同じサイズの壁紙を切ってきます。それをカウンターの切り取り部分に載せてショックを受けるのです。なんと同じに見えた壁紙はまったく違ったものだったのです。
 しかたなく階段の切取り部分を糊で貼り戻し、今度はカウンターの奥の部分(写真の青丸あたり)から切り取って貼ろうとしたのですが、疲れて作業がいい加減になり、形があわず断念。結局すべてを元に戻し、しらばっくれることにしたのです。
 やればやるほど状況が悪くなる。男の子はしばしばこうしたことをします。

(この稿、続く)