カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「興醒め鳥」~モズの習性

  庭のマユミの木が徒長したので枝切バサミでジャキジャキ切り始めたら、反対側の木に止まった体長18センチくらいの小鳥がカタカタとうるさい声で鳴きはじめました。そんな近くに野鳥が来るのは妙だなあと思いながら作業を続けると、なんとそのマユミの木の中に巣があって2〜3羽のヒナ鳥がビービー泣いているのです。真っ黄色のクチバシを大きく開けて小さく泣き叫んでいます。
《ああ、これを守りに来たのだ》
 私は作業を止め、ヒナが育つまでしばらくそのままにしておくことにしました。(右の青丸が巣のあるところ、左の赤丸に親鳥)

  しかし困るのは庭の雑草です。
 なにしろ私が庭に出るたびにどこからともなく親鳥が飛んできてギャーギャー威嚇するので、気の毒で草取りもできないのです。幸いこのところ雨が降らないので雑草も伸びず、お陰で巨大な雑草園にならずに済んでいますが、いつになったら庭仕事が再開できるのか、けっこう気をもみました。

 さてその小鳥。
 私は「相貌失認」の傾向があって人間の顔を覚えるのがとても苦手で、だから植物の名前や動物の名前を積極的に覚えようという気になったことは一度もないのですが、今回は特別です。私の庭を占拠しているこの鳥について、少し調べてみる気になりました。ところがそれがとても難しい。
 なにしろ人間にも顔の違いがあるように、鳥にも個性があるのです。ネットの鳥類図鑑で次々と見ていって、ホオジロに見えたり、コサメビタキに見えたり、ゴジュウカラに見えたり・・・そうして目の後ろの黒い線からはモズに見えたりといっこうに定まらないのです。
 そこで今度はそれぞれの鳥の鳴き声を参照して種類を特定しようとしたのですが、それぞれの鳥に数種類の鳴き声があって案外な苦労になりました。
 その結果、おそらく私の庭の小鳥はモズです。

 モズといえば「モズの高鳴き七十五日」というのがあって、秋、木の葉が色づき、モズが高鳴きして75日たつと霜が降りるという言い伝えがあるそうですが、その鳴き声は「キィー キィー キチキチキチ」と表現されます。私の聞いた「カタカタカタ」とは違っています。そこでさらに調べていくと「警戒の鳴き声」という音声ファイルがあって、その鳴き声がまさに私の聞いた「カタカタカタ」なのでした。状況にもよく合います。

 モズは「百舌鳥」と書くように他の鳥の鳴き声をまねる名人であるとともに、獰猛な鳥としても有名で、捕まえたカエルを枯れ枝に突き刺したりする「はやにえ」と呼ばれる習性を持っていたりします。
 そう言えば以前、民放で「モズ」を題名とする刑事ドラマがあって、その際、「はやにえ」がずいぶん象徴的に扱われていました。

 ヒナ鳥を守るために必死に飛んできては自分より何十倍も大きい人間を威嚇する可愛い親鳥。そんな印象で調べ始めたのに、とんだ凶鳥ですっかり興ざめです。