「羊を巡る連想」

 今日は毛皮の日だそうです(日本原毛皮協会)。11月20日を「いいファー(毛皮)」と読ませる語呂合わせだそうですが、そうとう無理があるのではないでしょうか。

 さて、2015年の年賀はがきのデザインは、ヒツジがマフラーを首にかけているものです。そのマフラー、12年前のヒツジが自分自身のために編んでいたものだと話題になっています(なにしろまだ編み棒も持っているくらいですから)。

 12年もかけてマフラーを編むなんて、実に気の長い動物です。辛抱強いのか真面目なのか。――しかし実際、ヒツジはそういう生き物のようです。

 そこで薀蓄。

�@ 羊が人の家畜となったのは8000年も前の中国だという説がありますが、少なくとも7000〜6000年前のメソポタミアで飼われていたことは確実のようです。

�A 羊の最大の利用価値は言うまでもなく毛で、古くからこの毛を編んで衣服をつくっていました。糸の原材料としての毛は「ウール」と言いますが、もともとは上下二層になった羊毛(全体としてはフリースというらしい)の下毛部分であって、上の部分はケンプと呼ばれる剛毛だったようです。現代の家畜化された羊はウール(下毛)を十分に発達させたもので、ですから「ウールと言えば羊の毛」という言い方は決して間違っていません。

�B 羊の利用法としては他にミルク(チーズやヨーグルトに加工することが多いようです)、皮(衣服・羊皮紙、胴体部分でつくる水袋など)、そして食肉。肉については一歳未満の羊肉をラム、それ以上だとマトンと言います。全身すべて使える家畜です。

�C 羊は真面目な動物で、草ばかりかその根っこまで掘り起こして食べるので「畑の掃除人」と呼ばれたりしています。砂漠地帯ではオアシスの畑が休耕中、ヒツジの群れを入れて小麦の切り株などを食べさせます。遊牧民にとっては餌の心配をしないで済むメリットがあり、畑の持ち主にとっては羊が根まで掘り起こしてくれる上に畑を耕し、肥料となるフンまで撒いて行ってくれるのでメリットがあります。ただし、だからこそ草原に放つと文字通り「根こそぎ」食べてしまうので砂漠化の大きな要因となっています。

�D 「万里の長城はなぜあんなに低いのか、それでよかったのか」という問いがあります。それに対する答えのひとつは「北方の騎馬民族が連れて歩く羊の群れが飛び越えられない高さであればよかった」です。また長城には「長城のはずれ」ともいうべき終点があります。これはテレビで見たので間違いないのですが砂漠のど真ん中にありました。羊の群れを連れて回りこむには遠すぎる乾燥地帯で、だからこそ終点があってもかまわないのです。

�E さらに中国では漢民族に長城を造らせヨーロッパではゲルマン人を追い立てた北方民族――彼らが命を賭して繰り返し南下を計ったのは、地球の寒冷化のためだと言われています。大量の羊を連れていますから南行せざるを得なかったのです。

�F 羊は非常に群れたがる性質を持っていてしかも先導者に合わせやすい。その先導者は、たまたま最初に動いただけといった何の理由もない場合も少なくないようです。

�G エジソンが自らの発明品である蓄音機に最初に吹き込んだ歌が「メリーさんのひつじ」だったというのは有名な話です。しかしその原盤はもう壊れていて、聞くことはできません。

�H その「メリーさんのひつじ」ですが、これは19世紀の初頭、ボストンのメリー・ソーヤーという少女が可愛がっていた羊を学校に連れて行って大騒ぎになった実話に基づいています。この歌が「メリーさんのひつじ、ひつじ、ひつじ」で始まることはほとんどの人が知っていますが最後まで知っている人は稀です。一度確認しておくといいでしょう。

 以上、「私はそのように聞いた」(如是我聞)という話で、中身の真偽は保証しません。

 最後に、

 あれこれひっくり返していたら12年前の未年に作った年賀状が出てきたので紹介します。当時は小学校の担任で児童から来た場合のみ返事を出していました。

 大したものではありませんが、こんなものもある、ということで・・・。