「来入児保護者懇話会にて」~子どもはあっという間に他所の嫁になり、あるいは犯罪者になる

 先日、地域の来入児保護者懇話会に行ってきました。私の担当は三人の女の子のお母さんたちです。その席でこんなお話をしました。

 女の子ばかり三人ですよね。どうですか、この6年間は長かったでしょうか。楽しく過ごしてこられたでしょうか。

 私事ですがこのたび娘が嫁ぐことになりまして、先日、婚姻届の証人の欄に署名捺印させられたところです。24歳です。この24歳というのがなかなかのミソで、皆さんのお嬢さんたちのちょうど4倍なのですね。何を言いたいのかというと、6歳になって保育園を終え、12歳で小学校を終える、18歳で高校を卒業すると、もう子どもはどこへ行ってしまうかわからない、特に女の子は二度と親の元へ戻ってこないかもしれないということです。

 ですから私は娘が小学校に上がるとき「ああこれでこの子と暮らす生活の三分の一が終わった」と思い、9歳で小学校4年生を終えるときには「半分が終わった」と思い、12歳で小学校を終えるとあとはもう一気呵成、中学高校の6年間はあっという間でした。
 大学に入って東京まで送って行った時――3月31日、娘を置いてこちらに戻り、ほっと一息ついたらなんだかとても大切なものをなくしたみたいで、というか、なくしてしまったらものすごく大事だったことを初めて分かったみたい、泣けて泣けて、涙が止まりませんでした。ああこれで、もうあの子は私のものではないと――。
 ですから好きな人ができたとか、結婚したいとか言われても、少しも動揺しませんでした。もう手放したものですからきっと式の当日も泣いたりはしないでしょう。

 みなさんがこれから過ごす日々の大まかな姿がこれです。4月から小学校に上がり、わずか2年後にはこの子たちと過ごす生活の半分が終わり、3年たってようやく小学校卒業かと思うと、最後の6年はあっという間に過ぎてこの子たちは目の前からいなくなってしまいます。本当に短い時間です。大切にしたいものです。

 もうひとつ。これも私事ですが、下の子、息子の方が今年成人式でした。なんと表現したものか、フワフワしたというかポワンポワンしたというか、とにかくピシッとしない頼りない男の子です。まだ子どもなのですね、ほんとうに幼い。
 しかしその成人式があった1月12日の3日前、横浜では地検から脱走して三日間逃げ回っていた男が逮捕されています。その子も二十歳なのです。

 こちらは何とも頼りない二十歳、向こうはすでに結婚もして子どももいる、犯罪を犯し、のべ4000人もの警察官に追われて全国に名を売ってしまった二十歳。これから先の人生はまだまだものすごく長いのです。その年月をどんな生き方をしていくのか。
 現在二十歳ですからわずか5年前は町内のK君やR君たちと同い年です。さらに5年遡ればNくんやTくん、Fくんたちと一緒なのです。
 15歳はあやしいにしても10歳の時から札付きのワルということはないでしょう。10年前は普通の、あるいはちょっとヤンチャな、そんな感じの子だったはずです。この10年の間に彼の身に何があったのでしょう。

 これから始まる小学校生活、続く中学校の生活、学校も先生方もきっと本気で精一杯のことを尽くしてくれるはずです。ですからお互いに協力しながら、この大切な時間を過ごしていきましょう。一緒に、みんなで楽しんでいきたいと思うのです。