カイト・カフェ

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「赤ちゃんの話」~病院の新生児室で考えたこと

 姪のところに二人目の子が生まれ、土曜日にお見舞いに行ってきました。ちょうど家族も赤ちゃんもそろっているところでした。
 2850gの赤ちゃんはとても小さく、すやすやと眠っています。その横でお兄ちゃんになった上の子は、ずいぶんキリリとした表情でいました。

 ほんとうはもっとゆっくり赤ちゃんに触ったり抱っこしたりしたかったのですが、姪とはいえ若い女性が寝間着姿でいる場所は何となく居心地が悪く、不自然ではない程度に時間を過ごして早々に出てきました。見舞いというのはどうも苦手です。

 もっとも急いだことには別の理由もあって、新生児室のショウウインドウ(と言っていいのかな)を覗いてみたかったのです。ひとりの赤ちゃんを見るのもいいですが、何人もの赤ちゃんが並んでいる姿は壮観です。昔、その病院に怪我で入院したことがあるのですが、そのときもときどき覗きに行ったりしました。
 土曜日に並んでいたのは男の子が4人、女の子がひとりです。

 私見ですが、眠っている赤ちゃんの8割は右向きです。これは確率的に8割というのではなく、5人いれば必ず4人が右を向き、ひとりはひねくれ者のように左を向くのです。“そんなバカな”と人には言われますが、少なくとも私が見るときはいつもそうです。一昨日も3人が右向きで1人が左向き、残りの1人が起きて元気にギャーギャー泣いています(この子が眠るときは必ず右を向くはずです)。

 その元気よく泣いていた子の枕元を見ると、カードの記載は11月末生まれの1340g、一ヶ月半も新生児室にいるわけです。他の子と比べてみた感じでは、今は2500gくらいにはなっていそうです。
 そんな子が一番元気よく泣き、暴れているわけですから何かうれしくなります。“よくがんばったね。これからもがんばりな”、そんなふうに言ってやりたい気分です。

 一番大きな3250gの子は、のけぞったような姿で眠っています。横でギャーギャー泣いている子がいるのに眠っていられるのは新生児ならではです。その子のカードには「C/S」と書いてあり、私の隣りで見ていた新生児のお父さんが、帝王切開の子の印だと教えてくれました。そう思ってみると5人中3人に「C/S」の記入があります。たまたまそうなのか、今は帝王切開の選択が多くなっているのか、そのあたりは分かりません。
 私の子はひとりが3280g、もうひとりが2950gの自然分娩でしたが当時はむしろ小さな赤ん坊のグループでした。今は3000gを越えると大きな赤ちゃんといった感じになります。

 赤ん坊を見ていると本当に心癒されます。まったく無垢で弱々しく、全面的に大人を頼るしかない存在。可能性に満ち、たくさんの人々を幸福な気分にさせる存在。
 しかしその一方で、今日生まれる子どものうちの何%かはすでに幸せな環境にはなく、そのうちのさらに何%かは10年前後で社会と不適応を起こし、さらに数%は10年ののち、悪魔のような存在に育つ可能性のある子です。それを抑えるための重要なファクターは、やはり私たちなのです。
 しっかりしなくてはなりません。