「その穴をふさぐ仕事」

 一昨日の夜、東京で警視庁による一斉摘発がありました。対象となったのは「JKお散歩」と呼ばれる業界で働く女子高校生たちです。JKというのは女子高校生、「お散歩」というのは8000円前後のお金を払って散歩を楽しむお仕事なのだそうです。

 いわゆる児童買春・児童ポルノ法というのは偏頗な法律で、買った側は罰せられるのに売った側は被害者とみなされるために処罰の対象になりません。ですから児童買春の現場で女の子が「約束した金を払ってくれない」と警察に訴えるという、信じられない事件まで起こってきます。

 いわば需要供給の需要側ばかり取り締まってきたわけですから、供給側は垂れ流しでさっぱり実効性が上がりません。そこで、という訳でもないと思いますが、ここのところ、ネット上で援助交際を持ちかける側まであぶり出し、積極的に補導していこうとする様子が見られます。一昨日の一斉摘発もその流れで行われたようです(悪い女の子も安心していられません)。

 その摘発の直前、NHKのニュース・スタッフは営業中の女子高校生の取材に成功しているのですが、その話しにちょっと考えさせられるものがありました。

「上は70歳から下は高校1年生まで。ごはん屋さん(という言い方をしました)や居酒屋、お買い物・・・」

 孫のような娘とお金を払ってデートする老人も切ないですが、そばに女子高生ならいくらでもいそうなものをわざわざ8000円も払って付き合っていただく高校一年生も悲しい・・・私はむしろ後者に感情移入してしまい、なんともやりきれなくなってしまいました。

 それはさておき、

 NHKは「JKお散歩」の取材中に(たぶんそういうことだと思うのですが)、ひとりの風俗で働く女性に出会います。軽度の知的障害を持つ若い女性です。最軽度の障害を認定した養育手帳を持ち、高校は特別支援学校に通いました。

 高校卒業後は障害者枠で一般企業に勤めたようですが、最軽度であるために理解が行き届かず、普通の働きを期待されてもうまく行かなかった――そのうち仕事を離れ、一か月あまりも路上生活をした後で風俗のスカウトマンに声をかけられたと言います。仕事が気に入っているわけではない、しかし生活をしていくには他に方法を知らなかったと言います。そして軽度とは言え知的障害があるので信じられないようなだまされ方もします。

 先のスカウトマンは彼女を寮に入れるのですが、おそらく風俗店から紹介料を受け取った上で、女性からも寮の斡旋料として毎月5万円を要求したりします。斡旋料が毎月徴収されるということに何の違和感も持たない、持ってもそれをきちんと表現し説明を受けることもできない。風俗ですから月に数十万円稼ぐことがあっても、その大部分を誰かにもって行かれ、それでも不思議とも思わない、ついには障害基礎年金まで取られてしまう、そんな生活が続いてきたようなのです。

 重度および中度の障害者に対する社会システムは不十分とはいえ一応整っています。しかし軽度の障害者に対する支援にはあちこちに穴があります。そしてその穴は誰かが塞がなくてはなりません。

 私はいつか、その穴をふさぐ仕事をしたいと思っています。