カイト・カフェ

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「児童の絵の選び方」~芸術の秋に①

 昔、児童の作品展に出す絵を選びかねていたら美術を専門とする先生が横合いから声をかけ、あっという間に選んでくれました。それはいいのですが、私が思っていたのとは違う絵が県展宛になっていたので「あれ、こっちの方がいいんじゃありません?」と訊ねたら、
「そうだよ。それが一番いい。だけどそれを出しても県展はレベルが高すぎて賞状ももらえないでしょ。がんばって一番いい絵を描いたのに賞状も出ないなんてかわいそうじゃない。その点、こっちの方に出しておけば金賞くらいはもらえるかもしれない」
 なるほどと思いました。

 どの作品展に出しても賞はもらえそうにないクラスで4〜5番手くらいの絵を県展に出し、優れた作品はレベルの低い作品展に出す。優れた作品は賞状もらい、県展にいった作品は本人に「キミのは良かったから県展に出したけど、やっぱレベルが高すぎてだめだった」そう言えば本人も嫌な気はしないし指導要録などの記録にも残せる。やはりひとの話は良く聞いておくべきです。
 もっとも、どちらにしても学校で応募する作品展は賞状1枚の話ではありますが・・・。

 ところで、世の中の公募展にはやたらと素晴らしい賞品のついてくるものもあったりします。

 20年ほど前のことです。保険会社に勤める義理の姉が、会社で公募している児童画展に応募しないかと、画用紙つきで話を持ちかけてきたことがあります。どうやら勤務先の支社から1点の応募もなく、困って持ってきた話のようです。

 ちょうど夏休み中だったこともあって子どもも時間を持て余していたので、二人の子に絵を描かせ、翌週、義姉に持って行かせました。

 娘が描いたのは「トウモロコシを食べる私」で、もともと絵は好きでしたからとても熱心によく描けていました(ただし実際にトウモロコシを握った手を観察しながら描いたので、絵は“私”の顔は向こうにあるのにトウモロコシを握っている指がこちらを向いていて、しかも親指が外側にあるという、かなり気持ちの悪いものにはなってしまいました)。

 幼稚園児の弟の方は「カブトムシを獲った」という絵で、人間より大きなカブトムシと一緒に飛び上がっているとても楽しい絵でした。姉の絵は上手でしたが、私はこちらの方が好きでした。

 さて、それから2ヶ月ほどで結果が返ってきたのですが、姉の方は小学校低学年の部の最優秀賞で副賞は豪華な絵の具セット(+1万円の図書券)、弟の方は未就学児の部の銀賞で副賞はクレヨン一箱(+5000円分の図書券)です。
 もとを質せば画用紙ももらって応募した作品ですから大もうけ。しかも部の応募作品が各部十数点しかなく、学校から出す絵とは違って教師の指導や助言もはいっていませんからかなりレベルの低い戦いだったはずです。賞品の豪華さでも入選確率でも、学校から応募するのとは大違いです。

 ただし、この話にはかなり深刻な“オマケ”がありました。
 これについては明日お話します。

(この稿、続く)