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「入学式・始業式事情」~世界と日本、親と子

 入学式というのはどこの国にもあるものではなく、イギリスなどは就学年齢に達したその日、つまり誕生日に学校に行ってそこから学校生活が始まるのでそもそも入学式のしようがないようです。スウェーデンも同じような状況です。

 イタリアやカナダ、アメリカの多くの州は9月、一斉に新学期が始まりますがこれといった式典はありません。韓国やドイツは日本のようにきちんとした入学式が行われているようです。

 要するに入学事情は各国まったくバラバラといった感じです。

 昨日のニュースで、大学の入学式に出席する保護者が7割近くになったという話題を取り上げていました。しかし過保護を憂うるといった感じではなく、就職が異常に困難になった今日、受験戦争を経て就職戦線も家族全体で乗り切ろうといった現状を報せるという感じで、報道姿勢そのものがいい感じでした。実際、子どもに任せていたら地獄を見るのが今日の就職です。そうなるのもやむを得ません。

 それに比べたら小学校の入学式などかわいいものです。

 私はいつも思うのですが、新入生はなぜあんなにも学校に入るのを楽しみに思うのでしょう? 入ってからすぐに勉強の重みにウンザリしてアゴを出してしまうのに、新入生に「何が楽しみ?」と尋ねると、「算数を頑張りたい」などと平気な顔で答えます。大半の子は異常に前向きで、入学式の会場へ親の手を引っ張って向かう子も何人も見かけます。

 もしかしたら「何か新しいことが学べる」というのは本源的な魅力なのかもしれません。

 小学校の入学式に向かう親も、子の気分に巻き込まれ、そしてとりあえずここまで育てたという安心感、少し本人に任せられることが多くなるといった解放感に包まれて学校の門をくぐります。不思議なことに、中学校の入学でも同じ気分なのです。

 入学してくるのは児童生徒だけではなく、保護者もまた“入ってくる”のです。

 入学式は教員にとっては年中行事のひとつです。しかし子と親にとっては生涯にそう多くない大切な節目なのです。
 その大切な瞬間、一緒になって大事にしてやりたいものです。
 暖かく迎え、気持ちよく子どもを置いていけるようにしてあげたいですね。