「忘れてはいけない」~誘拐を恐れて子どもに携帯を持たせる愚

 2004年11月に起ったいわゆる「奈良小1女児殺害事件」の犯人である小林薫死刑囚の刑が執行されたそうです。許しがたい誘拐殺人ですので同情の気持ちはありません。

 奈良の事件のちょうど1年余りのち、今度は広島で小学校1年生の女の子がペルー人の男に殺されるという事件が発生しました。さらにその翌月、今度は栃木県の小1女児が下校途中に行方不明になり、翌日茨城県で他殺死体となって発見されるという事件が発生します(未解決)。

 奈良の事件のときはさほどではありませんでしたが、一年余りの間に小1の女の子ばかり3件も襲われたことで、一種のパニックが全国的に広がります。
 学校職員が朝夕のパトロールに出たり集団登下校が始まったり、そして地域の「見守り隊」が続々とつくられたのもこの時期のことです。当時私が勤めていたのは山の中の学校でしたが、不審者どころか人間自体がいない山の田圃道を、車で何回も往復したことを覚えています。
(この時つくられた制度のいくつかは、今は学校の重荷となっています。 “連続”という意味ではあれ以来大きな誘拐殺人は起っていません。しかし「事件が起こっていないからそろそろやめていい」のか、それとも「一見むなしいと思えるような地道な活動を続けているから起こらない」のか、そのあたりは微妙なでのやめるわけにはいきません)

 また、そのころから誘拐を恐れて子どもに携帯電話を持たせようとする保護者が出てきました。基本的に子どもが携帯を持って良いことはありません。連絡がつきやすいので親が楽をできるという、それくらいのことです。逆に携帯を持たせたばかりに犯罪に巻き込まれた例は枚挙にいとまがありません。子どもを大きく一歩、犯罪の側に押しやるだけです。
 しかし持たせたい親はどうしても持たせたく、持ちたい子どもはどうしても持ちたいのです。これとどう戦っていくか。クラスで2〜3人に許せば、10人〜20人はあっという間です。

 誘拐を恐れて子どもに携帯を渡したがる親は大切なことを忘れています。それは奈良の被害者がGPS付の携帯電話を持っていたということです。
 子どもが行方不明になったあと、しばらくして母親は「娘はもらった」というメッセージとともに、その携帯で撮られた娘の遺体写真を送りつけられます。さらにしばらくして「次は妹を狙う」と、被害者家族の心臓をえぐるようなメールと画像を送り続けるのです。携帯なんて、誘拐防止のためにはまったく役立たないのです。

 私たちの大切な児童を守るために、携帯など持たせないように親と戦わなければなりません。しかしどうしても心配だという親がいたら、警備保障会社の子ども向け端末でも紹介してあげればいいのです。これだとボタン一つで警備員が親よりも速く現場に駆けつけてくれます。
 初期費用7400円、月々900円〜2900円(親が子どもの居場所確認をする回数によって料金に差がある)。警備員の現場急行1回につき1万円。通話やメールはできませんが、使用料は普通の携帯を子どもに渡すより、はるかに安いはずです。(詳しくはセコムのサイトから)

「え?安否確認だけのためにそんなにお金は払えないって?
・・・お母さん、お嬢さんのこと心配じゃないんですか?」