初めの内は自分の健康を確認するために行っていたような人間ドックも、最近では毎年課題を増やすだけになっています。
「好中球数の増加がみられますが、心配いりません」
「血清総蛋白の低下がみられますが、心配はいりません」
「脳ドックの結果所見が認められますが、心配いりません」
心配がいらないなら敢えて言わなくてもよさそうなものを、親切なことです。
他に、一年後に検査すべきものが7項目、半年後に検査すべきものが3項目、そして今年は初めて「(要治療)胃内視鏡検査の結果、びらん性胃炎の所見が認められますので、治療を受けて下さい。ピロリ菌の検査も受けてください」が出ました。ドックを契機に病院に行くのも初めてのことです。
ピロリ菌というのは正式にはヘリコバクター・ピロリという名の細菌で、十数年前から胃癌の原因菌として注目されているものです。癌の原因として認定されている唯一の細菌で、この菌の発見が胃癌の死亡率を極端に抑え、かつては圧倒的に1位だった部位別死亡率を2位に下げています。私のびらん性胃炎もピロリ菌が原因かもしれないということでの検査です。
検査自体は簡単なもので、
- 15cm×10cmほどの袋に息を吹き込む
- 錠剤をひとつと100ccの水を飲んで5分間(左側を下にして)横になる
- 体を起こし、15分間座って待つ
- 先ほどと同じサイズの別の袋に息を吹き込み、二つを機械にかけて分析する。
この先がよく分からないのですが、二つの息を比べて特別な二酸化炭素の上昇率が2.4パーミルより多いとピロリ菌がいる証拠なのだそうです。私の場合は2.0で陰性の判定でした。
医師:ということで、ピロリ菌はいない、という判定です。
私 :はい。
医師:では、このびらん性胃炎というのの原因は何かというと・・・タバコやお酒は?
私 :タバコは吸いません。お酒はけっこう飲みます。
医師:フ〜ム、そうなると、原因はストレスかな?
私 :(え? お酒たくさん飲むのですけど・・・)
医師:仕事上のストレスというのはありますか?
私 :ストレスのまったくないという仕事もないと思いますが、あるとしたらむしろ家庭の方で・・・。
医師:そうですか・・・。
(と言いながら、キーボードを叩く。モニターには「仕事上のストレスが多い」)。
私 :(いや、仕事上のストレスはほとんどないと・・・)
医師:で、治療はどうします?
私 :どうしますと言われても・・・。
医師:まあ、やらなくてもいいでしょう。
私 :(え? ドックでは要治療なのですが・・・)
医師:じゃあこのまま様子を見るということで・・・。
私 :(え?え?それでいいの?)
ということで処方箋のひとつも渡されずに帰ってきました。釈然としませんが、もともと自覚症状もないのでお医者さんがいいと言えばいいのでしょう(ということにしておきます)。
ピロリ菌は胃酸の中でも生きるという不思議な菌です。さらに最近ではいくつかの食品に抑制効果のあることが分かってきています。梅、緑茶、緑茶カテキンやココア、コーヒー、わさび、ショウガ、ニンニク、キムチ、ヨーグルト、乳酸菌のLG21、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー・・・
私の好物がけっこうたくさんあります。大丈夫ですね。