カイト・カフェ

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「総選挙がやってくる」~子どもに訊かれて困らない程度には学んでおきましょう

 職員旅行、ご苦労様でした。団体で行く旅行にはそれなりの楽しみがあります。見たもの、感じたもの、食べたものなどに共通の基盤ができることです。家族で感動を共有するのもよいですが、職場の仲間と感性を分け合うのも素敵なことです。ああこの方はこういう人だったんだと見直すことも少なからずありました。やはり“学校”という枠の中で過ごしているのとは違います。

 さて、12月になりました。総選挙の月です(衆議院選挙を“総選挙”というのは、半数ずつを入れ替える参議院選とは異なり、議員を“総”入れ替えするからです)。毎年ある、といったものではありませんから、特に中学生には意識を喚起させておきたいものです。選挙公約もそろそろ出そろい、15あった政党も多少は整理されてきました。それぞれが何を訴えているのか、注意深く見て行きたいものです。

 しかしそれにしても、今日まで政治家の離合集散には目を覆いたくなるものがありました。第三極の結集とか言いますが、とにかく誰とくっつけば票が取れそうか、どの看板を背負ったら生き残れそうか、そればかり、肝心の政策の摺り合わせというものがさっぱり進んでいません。

 維新の会などは一昨日、石原代表が「フェード・アウトなんて聞いてねーよ」みたいな言い方をしていますし、松井幹事長は「代表にはまだ十分説明していません」などと信じられない説明をしています。そもそも「フェード・アウト」は(記者は「消滅することです」とか言っていましたが)辞書で調べると「(音・像が)次第にぼんやりすること」とありますから、原発問題を「次第にぼんやりさせる」ということで、正反対の考えをもつ石原代表と橋下代表代行の妥協を図ったのかもしれません。
 もともと市長が国会議員を統べろうとするのが無理なのです。橋下市長自身が出馬すればもっと違ったものになったはずですが、維新の会の迷走は今後も続くでしょう。

 昨日発表のあった日本未来の党の公約も「遅くとも10年以内の原発完全廃炉」「消費増税法の凍結」「年間31万 2000円の児童手当支給」「青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の即時廃止」「環太平洋連携協定(TPP)交渉不参加」など、雰囲気は3年前の民主党とそっくりです。嘉田代表の「卒原発」はついこの間まで「40年以上の年月をかけてゆっくり行う脱原発」だったはずですが、「遅くとも10年以内の原発完全廃炉」となると最も急進的な脱原発グループと同じです。なぜ「卒」などという紛らわしい言葉を持ち出すのでしょう。

 民主党は公約を何一つ守らなかったと非難されていますが、私はそうは思いません。この公党の罪は「言ったことをやらなかった」ことではなく、「できもしないことを言った」ことです。票を集めるためなら何を言ってもいい、それが小沢一郎氏の一貫したやりくちです。その性格は、トーンはだいぶ落ちましたが、民主党の中に宿痾のように根付いています。

 では自民党かというと、これも困ったことにこの党に票を入れることは国防軍憲法改正にお墨付きを与えることになりかねません。
 いうまでもなく、だからと言って政治を諦めることもできるはずがありません。

 今回の総選挙は歴史を変える選挙になるかもしれません。不謹慎なほどに面白い選挙であり、限りなく危険な選挙でもあります。3年前の失敗を繰り返さないように、注意深く、一生懸命みて行きたいと思っています。