あの人たちがやってくる

 あの人たちがやってくる・・・。

 あの人たちというのはいわゆる団塊の世代の人々です。厳密に言って1947年から1949年までの3年間に生まれた世代で、今年63歳から65歳にあたる人々です。

 彼らは70年安保闘争の主力部隊であり、オイルショックを戦い抜き、バブル経済を創出してその恩恵にたっぷり浴した人たちです。社会主義革命を目指していたはずなのに気がつくと資本主義のもっとも頼もしい先兵となっていました。

 1975年にヒットした「いうちご白書をもう一度」で

「就職が決まって髪を切ってきたとき、もう若くないさと、君に言い訳したね」

と歌われた通りの生き方をしてきました。

 同い年の人間がたっぷりいますから、競争が厳しく、創造的でエネルギッシュでないと生き抜けなかったのもこの世代の特徴です。

 つい最近まで、テレビCMには70年代のオールド・ロックが盛んに使われていましたが、それは各有力企業の会長・社長の、青春時代に流れていた曲だったことと無関係ではないでしょう。

 5年前からこの人たちは次々と社会の最前線から撤退していきました。しかし完全に足抜けしたのではなく、まだまだあちこちで力を発揮し続けていた・・・その人たちが、年金満額支給となる今年から、順次年金生活に入っていくのです。

 創造的でエネルギッシュな世代ですからきっと素晴らしい消費生活をしてくれると思います。実力もある人たちですからきっと私たちの背後から、さまざまに叱咤激励してくれるはずです。そこまではいいのです。そこまではいいのですが、私はこの人たちの数と政治意識の高さが心配になります。

 この人たちは必ず大挙して投票所に押し寄せる。ところが一方20代の若者は、過去も現在もさっぱり投票に行かない。すると次代の超高齢化社会では若者に不利な政策が次々と打たれかねないのです。もともと政治は「四十、五十は鼻たれ小僧」という世界ですから、政治家は初めから老人の味方ばかりなのです。それを団塊の世代がバックアップしたら若者などひとたまりもありません。

 立候補者は団塊という巨大な老人の群れに向かって多くを語り、若者のことなど見向きもしません。若者の方を向いているような人は当選できません。老人の方を向いてこそ初めて政治家になれるのですから。

 毎年成人式には各市町村選挙管理委員長が祝辞を述べ、「みなさん投票に出かけましょう」と悠長な呼びかけをしますが、その程度の声では若者に危機感を呼び起こすことはできません。子どもたちの健全な育成と幸福な未来を願う学校としては、「何が何でも投票に出かける」そうした子どもを育てておかないとならないのです。

 そうしないと私たちの教え子はとんでもない大損を食らうことになります。

*もっとも、ポスト団塊だったはず(実際にはそんな力はまったくなかった)の私たちも、若者がノホホンとしていれば儲かるクチなのですがね。