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「山中教授ノーベル賞受賞!」〜おめでとうございます

 京都大学山中伸弥先生がノーベル生理学・医学賞を受賞しました。日本人としては19人目の受賞者です。

 山中伸弥先生は神戸大学の医学部を出て国立大阪病院で整形外科の研修医となった人です。ところが(本人は不器用ではないというのですが)普通の医師なら20分で終わる手術に2時間を要したりあれこれ手際が悪かったようで、「じゃま中」とあだ名され、最後には点滴注射の手伝いばかり、次第に病院に居場所を失って行きました。

 そこで臨床医を諦め、薬理学の研究者の道を求めて大学院に入りなおします。さらに博士研究員としてアメリカ留学を目指すのですがここでもうまく行かず、自薦の手紙を数十通書いたのに拾ってくれたのはグラッドストーン研究所ただ一つ。もっともアメリカでの生活はかなり快適なものだったらしく、そこでips細胞に出会って研究を深めます。グラッドストーンの自由な雰囲気が性に合い、自分が自分であっていいという感覚を持ち続けることができたと言います。

 しかし日本に戻ると環境は再び劣悪なものとなり、ノイローゼになった挙句すべての研究を諦めて給料のいい臨床医に戻ろうかと考え始めた矢先、たまたま公募で見つけた奈良先端科学技術大学院大学への採用が決まり、アメリカ時代に似た研究環境を得ることができました。

 こうした紆余曲折があって初めて、ノーベル賞に手が届いたわけです。勇気を与える話ですね。

 スポーツが好きなのにやたら骨折するとか、研究資金が足りないので京都マラソンで完走することを条件に寄付を募って六百万円を手に入れるとか、なかなか風変わりなところもある人です。

 ちなみにノーベル賞の賞金は約1億円。ただしノーベル財団の運用がうまくいっておらず、今年の賞金は約8900万円に留まるようです。他に副賞として金のメダルがもらえますが、これは18金を基材として24金のメッキをしたものです(全部24金だと落とした時にすぐ曲がってしまうため)。重さはおよそ200g。

 その他、受賞者はストックホルム大学の学生有志の開くパーティでさらなく躍進を願って一斉に「カエルとび」をしなければならないとか、さまざまに面白いエピソードがあります。
 一人で二度以上受賞した個人・団体、親子での受賞、夫婦の受賞、兄弟の受賞、最年少受賞、最年長受賞、受賞理由の起こった事象から最短の受賞・最長の受賞、そういったことも調べてみると面白いでしょう。
 さらにノーベル賞のパロディであるイグ・ノーベル賞と本物のノーベル賞の両賞受賞者というのもいます。この世界、なかなか奥の深いものがあります。