カイト・カフェ

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「聖バレンタインとモネ」~それぞれのウンチク

 バレンタインデーです。
 年表を見ると「聖バレンタイン殉教する」とありますが、それが誰なのか、どういう経緯で殉教したのか、知っている人はほとんどいないでしょう。私も知りません。
 そこで調べると、
 ローマ帝国皇帝クラウディウス2世は、愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由で、ローマでの兵士の婚姻を禁止したといわれている。キリスト教司祭だったウァレンティヌス(バレンタイン)は秘密に兵士を結婚させたが、捕らえられ、処刑されたとされる。処刑の日は、ユノの祭日であり、ルペルカリア祭の前日である2月14日があえて選ばれた。ウァレンティヌスはルペルカリア祭に捧げる生贄とされたという。このためキリスト教徒にとっても、この日は祭日となり、恋人たちの日となった。(Wikipedia
のだそうです。

 また「ユノの祭日」「ルペルカリア祭」については、
 古代ローマでは、2月14日は女神ユノの祝日だった。ユノはすべての神の女王であり、家庭と結婚の神でもある。翌2月15日は、豊年を祈願する(清めの祭りでもある)ルペルカリア祭の始まる日であった。当時若い男たちと娘たちは生活が別だった。祭りの前日、娘たちは紙に名前を書いた札を桶の中に入れることになっていた。翌日、男たちは桶から札を1枚ひいた。ひいた男と札の名の娘は、祭りの間パートナーとして一緒にいることと定められていた。そして多くのパートナーたちはそのまま恋に落ち、そして結婚した。(やはりWikipedia
とあります。覚えておいて損はないでしょう。

 さてこの14日は「聖バレンタインの殉教(270)」以外にも「聖武天皇国分寺建立を命じる(741)」とか「平将門平貞盛藤原秀郷らに討たれる(940)」とか「日蓮が許されて佐渡から鎌倉へ帰る(1274)」、あるいは「箱根駅伝初めて行われる(1920)」とか「外国為替、変動相場制となる(1973)」とか「長野冬季五輪、スピード女子五百 岡崎、銀メダル(1998)」といった様々に面白いことのあるのですが、私が特に心惹かれるのは今日がモネの誕生日(1840)だということです。

 そこで思いだすのが1982年、ですからちょうど30年前、東京の国立西洋美術館で開かれた「モネ展」です。モネはたいへん有名な画家ですが当時の私はそれほど好きなわけではなく、ただ「今回を逃せば、もう二度とこれだけのものは観られない」という強迫観念に襲われ、弟をさそって出かけたのです。ところが、画集で見たことのある有名作品がずらっと70点も並んでいるのにさっぱり面白くない。まったくいいと思えない。

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 小一時間も歩いて回って、何の感動もないまま最後の部屋を出ようとして、しかしそれでも未練が残り、二人で振り返りました。そのときです。正面にあったのは「ルーアン大聖堂」のシリーズのひとつでしたが、突然分かったのです。
 “モネの絵は30m離れて見ると分かる”
のです。
 視覚混合といって、ちょうどカラーテレビに近づき過ぎると画像が赤青緑の点になってしまうように、モネの絵は近くで見ると何をやっているのか分かりません。遠く離れて初めて分かるのです。それから私たちは急いで最初の部屋に戻り、そこから二時間もかけてすべての作品を鑑賞し直しました。

 「絵画というのは本物を見ないと分からない」、逆に言えば「本物を見れば確実に分かる」と確信したのはそのときで、以後、多少の無理はしても画集ではなく、展覧会で本物を見ようと決めて今もそうしています。