カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「アルコール考」~お酒に関する個人的研究と考察

 数年前、夏休みの期間を使ってアルコールはどの程度身体に残るかという実験を行ったことがあります。花岡青洲の妻ではありませんが、自分の身体を捧げての研究です。

 結論的にいうとこの実験、条件を揃えるのがとても難しくてうまく行きませんでした。これはある程度経験的にも分かっていたことですが、毎晩同じ量を飲んでもその日の体調によって酔い方がまるで違い、したがって翌日に残る度合いもまったく異なってしまうのです。実験を正確なものにしようとすれば気温や湿度を揃え、毎日の食事も運動量も揃えるといったおよそ現実的でないことをやるか、逆に人数を増やして資料の平準化を計るしかありません。

 そんなこんなでひと夏飲み明かすという私の過酷な実験は失敗に終わったのですが、いくつか分かってきたことがあります。そのひとつは私の場合、例えば頭がボーっとしているとか身体が火照っているとかで「自分が正常ではない=二日酔いである」と認識できる場合でも、息がまったく匂わずアルコール検知器にも検知されない場合がある、ということです。もちろんそれは度合いの問題で「ああダメだ、まだ酒が残っている」と感じてやはり息が臭かったり検知器に引っかかったりということはあります。しかし出ないときがある、しかもかなりの頻度でそういうことが起こるのです。

 しかしそれならば、むしろ問題は少ないとも言えます。検知器に出なくても酔っている感じがある間は運転しなければいいのですから。困るのは逆の場合です。
 私の実験から得られたもうひとつの仮説は、私とまったく逆の人、「意識はほとんど正常なのに、息が匂ったり検知器に引っかかったりする人」がたぶんいるだろうということです。あるいは私だって、体調やその他の理由によってそうなるかもしれませんが、まったくシラフだと重いながら車に乗ってしまう危険があるのです。

 以後、私がもともとアルコール検知器のような可愛い機械が好きなこともあって、飲酒の翌日は自分の体調に耳を澄ませ、アルコールチェッカーに息を吹きかけて「0.00」の表示を確認し、それから「OK! ゴー」という感じで家を出るようにしています。ところが・・・、

 先日酷い二日酔いで頭がガンガンとして身体もやたら熱く、「これってどの程度の二日酔いなんだ」と思ってチェッカーで計ると「0.00」。そんなことはないだろうと息子に息を吹きかけると、「お父さん、臭いよ」。そこでその夜、(もう飲みたくないのに=ウソ)実験のために敢えてアルコールを口にして計るとやはり「0.00」。電池を交換してみても「0.00」。なんのことはない機械が壊れていたのです。そうなるとこれまでの「OK! ゴー」は何だったのでしょう。

 後日あわてて同じ機種のアルコールチェッカーを再購入したのですが、そこには前回はなかったこんな表示がありました。

    センサー寿命について
●測定回数が500回を越えた場合、または使用開始から1年間経過した場合には正確な測定ができなくなります。

 そんな話は前はなかったはずです(インターネットで調べても、ごく少数の製品を除いて今もセンサーの寿命について説明のある検知器はありません)。

 クワバラ、クワバラ。