カイト・カフェ

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「やはり教師というものは」~7歳児を30人も預かって授業を仕切るこころの腕力

 研修会ご苦労様でした。いかがでしたか。私はS小学校の研修でした。

 S小学校はご存じの通り21学級700人を越える大規模校です。私も久しぶりに大きな学校に入り、数の多さに酔いました。つい一年少々前には大きな学校にいたはずなのに、もう感覚を失っています。

 中でも1年生1クラス32名は圧巻で、「こんなコンマイものが30数人もいて何ができるのだろう」と思わざるを得ないのですが、これがなかなかどうしてきちんと勉強しているのです。

 私が見たのは1年生の算数なのですが、TTの先生と二人で担任が一人ひとりの机を回って解法に間違いがないか確認している間、すべての子がおとなしく待っています。もう◯をもらった子もこれからの子も、多少身体は動かすものの辛抱強く待っています。

 この待ち時間、もったいないなあ(20人以下学級だったら待ち時間も少ないのに)と思いながらも、この長い時間を曲がりなりにも待ち続けることのできる1年生は大したものだとつくずく感心もしました。
 しかしそれはとりもなおさず、担任の先生の勝利です。

 思い起こせば私自身が小学校1年生の時だってきちんと待っていました。しかしそこには様々な作為があって、例えば私たちは発言したりノートをとったりする時間以外はすべて両手を後ろに回し、椅子の背板を握っていなければならなかったのです。そうすると当然姿勢はよくなりますし、後ろを向いたり隣とおしゃべりしたりすることはできません。もちろん背もたれから手を外す子もいましたが、そんな子は土砂降りのごとく怒られたりゲンコツを食らったりしました。

 それを現在の先生たちは、言葉と表情だけでやって遂げるのですから本当に大したものです。昔の教師に見せてやりたいものです。

 参観日に学校に来る保護者たちは、家ではさっぱり言うことをきかない子どもたちが、そろってしっかりと授業を受けている姿に驚嘆しないのでしょうか。それを教師の教育力のお陰だと思う人はいないのでしょうか。

 教師の指導力が落ちたなどと平気で言う人たちには、小学校1年生の1時間の授業を仕切らせてみたいものです。30人の1年生はただ者ではありません。絶対に1週間以内に学級崩壊です。

 やはり教師というもの、これもただ者ではありません。