カイト・カフェ

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「この人の学歴コンプレックス」~三洋電機初代社長の生き方

 ラグビー日本選手権は、19日の準決勝で三洋電機が劇的な逆転トライを果たして東芝を下し、27日の決勝でサントリーと戦います。三洋電機は4月からパナソニックの完全子会社になるため「SANYO」のロゴを胸に戦うのはこれが最後なのだそうです。がんばって欲しいですね。

 三洋電機パナソニック(旧松下電器)はもともと姉妹兄弟のような企業ですから、合併するには最もふさわしい関係でした。何しろパナソニックの創業者、松下幸之助の奥さんは、三洋電機創始者である井植歳男のお姉さんなのです。井植自身も松下電器に30年も勤めた上で、GHQから幸之助を守るために松下電器を去ったという経歴を持っています。したがって本来の姿に立ち返るようなものです。

 その井植歳男(いうえ としお)は義兄である松下幸之助に対して深い学歴コンプレックスを持っていました。尋常小学校4年中退の幸之助に対してです。
「俺は小学校をきちんと卒業したばかりに妙な知識をいっぱい身に着けてしまった。それに比べ義兄(幸之助)は小学校を途中でやめたので常識がない。常識がない分いろいろな発想ができる。そんな義兄には絶対に勝てない」

 日本国内で松下幸之助と戦っても勝負にはならない。だったら世界に出て、世界を相手にして勝負するしかない・・・そこで井植は三つの海、「太平洋」・「大西洋」・「インド洋」で天下を取る意志を固め、自分の会社の名前を三洋電機にしたのだそうです。
 ちょっといい話でしょ?

 三洋電機の完全子会社化によって電気製品の「SANYO」ブランドも「パナソニック」ブランドに統合されるようです。
「SANYO」というとまったく野暮ったくて洗練されていない印象でしたが、それでいて製品は堅実で隠れた名品があり、私もしばしば意図的に購入したり、選んでいったら結局「SANYO」ということも少なくありませんでした。そんな「SANYO」、なくなるのは寂しいですね。

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