カイト・カフェ

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「クールジャパン」~日本そのものがウリになる

 最近はそれでも少なくなりましたが、マスコミに登場する文化人の常として「こんなことをしているのは日本だけだ(=だからダメだ)」と言いたがるふうが強すぎます。「日本だけだ。だから素晴らしい」というようにはどうしてならないのでしょう。

 産経新聞などはすぐに「自虐的歴史観」とかいって日本の卑屈な態度に憤っていますが、「自虐的現代日本観」とか「自虐的社会観」についてはちっとも噛みついてくれず、一緒になって「ダメだ」「ダメだ」と連呼しているように見えます。日本経済は強い底力を持ちながらいつまでも景気回復に至っていませんが、結局みんなが「ダメだ」「ダメだ」というからダメなのではないかと、そんなふうに思えるのです。

 さて、ジャパンクールというのは、日本の文化領域が国際的に評価されている現象、またはそれらの内容そのものを指す用語です。具体的にはゲーム・マンガ・アニメなどのポップカルチャー、自動車・オートバイ・電気機器などの日本製品、料理・武道などの伝統文化など、日本に関するあらゆる事物が対象となっています。政府もようやく2009年から「日本ブランド戦略」ということで重い腰を上げ始めました。

 諸外国における日本のマンガ・アニメの隆盛については良く知られているところです。日本製品の優秀さというのもすでに定着しているでしょう。しかし海外における日本料理や武道のあつかわれ方などは、もっとマスコミであつかってよいはずだと、私はイライラしています。

 例えば、ミシュラン・東京版でひとつ星以上がついた料理店は197軒(総星数261)です。それに対してミシュラン・パリ版でひとつ星以上がついているのは77件(総星数111)しかないのです。最高峰の三ツ星レストランは東京11軒に対しパリ10軒です。要する世界最高級の食事をしようとするならパリではなく東京に行くべきなのです(ただしミシュラン関西版をつくったら東京もかなわないかもしれません)。

 寿司やてんぷらの評価は完全に定着しています。そして今見直されているのはラーメン・トンカツ・カレーライスといった家庭でも食べられるような日常食です。どれも外国由来ですが、日本のようなラーメンは中国にはなく、トンカツは欧米のどこの国にもなく、あんなに甘く食べやすいカレーはインドにもありません。

 見直されているといえば、日本流のサービスもわざわざ来日して味わうべきもののひとつになりつつあります。
 私たちがカナダにスキーに行くように、外国から日本のスキー場にすべりに来る人たちがいます。整備の行き届いた日本のスキー場はわざわざ来るふさわしいものなのです。
 山の中の温泉に行き、旅館の接客サービスをたっぷり味わって温泉に入るというのもジャパンクールです。行くべき場所は京都・奈良ばかりではありません。

 私たち日本人は韓国まで出かけていって韓国流垢すりを体験したりしますが、日本には「耳かき」専門店があります。かなり邪道ですが売り出せば面白いかもしれません。
 日本の理容店はおそらく世界一高い代金を取りますが、洗髪して調髪し、顔を剃ってくれた上にパックをし、耳かきをしてマッサージまでしてくれる理容店は世界でも日本にしかないでしょう。これもうまくすれば日本で体験すべきジャパンクールのひとつになりえます。

 昨日は日本の文化輸出をといった話をしました。しかしその前に、うまくすれば日本は20〜30年で世界最高峰の観光立国になっているのかもしれません。そして日本を訪れたたくさんの人が、日本製品をごそっと買って行くのです。

 私はこういう情報をこそ、子どもたちに伝えて行きたいと思っています。