テストの苦しみ

 テスト勉強で苦しんだ人もテストの結果に苦しんだ人もたくさんいると思いますが、テストづくりに苦しむ経験をするのは中学と高校の先生くらいなものでしょう。

 私はもともと社会科が好きで教師になりましたから小学校より中学校の教員として働くことに喜びを持っていたのですが、唯一これだけは勘弁して欲しいなと思ったのはテスト作成です。中学校の教員がテストづくりで苦しんでいるなんて、一般の人たちはもちろん小学校の先生たちだって知らないことなのかもしれません。

 とにかく去年と同じ問題は出せません。兄や姉のテストを参考に勉強している子だっていますし、地域の学習塾の中には終わったテストを持ってこさせてストックしているところもあります(実際に私も塾勤めをしていた頃はそうしていました)。

 テストづくりというのはかなり個性的な仕事ですから、見比べると作成者が分かってしまうのです。そしてその先生が出題しそうな問題がずらっと揃えられてしまいます。二人以上同教科の教員がいる学校では順番にテストをつくるのですが、塾の方ではどういう順番で先生たちがテストをつくっているのか、それも読めるようになってしまいます。

 作成者である私たちは、だからと言って相手の裏をかき、重箱の隅をつついて掻き出したような瑣末な問題を出すわけには行きません。ある単元のある場所について、生徒に覚えておいて欲しいと思うようなことは常に同じなのです。したがって「答えは同じ、問い方が違う」といった問題を山ほど作成しなくてはなりません。

 苦しさの原因は他にもあります。広いテスト範囲をほぼ満遍なく網羅するように問題をつくるというのもけっこう厄介です。

 さらにもうひとつ、平均点が60点くらいで落ち着くよう手配しなくてはならないというのもかなり難しい仕事です。問題が楽すぎて満点が何人も出るようでしたら上位層で成績の差別化ができません。あまりにも難しいと下位で同じことが起こります。そして平均点が40点を切るようなテストでは、生徒の意欲は著しくそがれてしまいます。

 かくしてテスト作成は一学年一教科に12〜13時間もかかるという重労働になってしまいます。そして思うことは、

「アイツら(生徒たち)、オレと同じくらい、この教科に向けて努力を払ってはいねーだろうな」

ということです。

 思った以上に不勉強で成績が伸びないとき、教師がイラつく背景にはそういうこともあります。