カイト・カフェ

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「地獄絵の話」~子どものうちに見せておきたい

 19日の研修で〇〇寺に行ってきました。地元在住の奥村先生のよると「たぶんお盆のため」なのだそうですが、たまたま地獄の絵図が掛けられていてすごい風景が描かれていました。それから1週間ほどして今度は市立美術館に行ったところ、ここには十王図があって5枚の絵に地獄の様相が描かれています。同じテーマですいぶんと勉強になる夏休みでした。

 地獄というのは私たちの住んでいる土地の地下で8階構造になっていて、それぞれ阿鼻地獄だの叫喚地獄といった名前が付いており、その最下層が無間(むげん)地獄です。各階は立方体のような箱構造で四方の壁の向こうにそれぞれ4室があるとされています。したがって各階は1+4×4の17室ということになります。全部で(17室×8階=)136室、麻雀牌の数と同じだと聞いたことがあります。

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 罪人が地獄で受ける責め苦はことごとく残忍なもので、絵の中には「口から焼けた銅を流し込まれる」「鉄の山を背負わされて綱の上を歩かされる」「釜ゆでにされる」「口から引き出された舌を大きく広げられ、そこを農耕牛が鋤いていく」といった場面が繰り返し描かれます。
 特に「逆立てられた刃物の木に体を切り刻まれながらも、樹上の美女を追い求めて止まない罪人」の図などは、何か身につまされました。
 昔の子どもはこうした絵を見ながら育ったのです。

 〇〇寺でも最近保育園児に見せたところ、夜眠れなくて困ったという話があったそうですが、年端も行かぬ子どものうちにそうした経験をしておくとのは、悪いことではありません。
 現代ではトラウマだのPTSDだのといって、何かと子どもを傷つけない方向で話が進みますが、他人のものを盗んだりウソを付いたりするのは何かとても恐ろしいことだと、心の傷跡が疼くようなら、もうそれだけでよい子が育ちます

 自分は何でもできる、何をやっても許されるといった間違った万能感をもって育ってくる子どもに比べたら、何らかの恐れをもって生きる子の方がよほど幸せになれるはずです。

 学校でやればすぐにも批判が来そうなことですし、私の子どもたちはすっかり大きくなって地獄など信じそうにありませんから、孫が生まれたら爺の責任をもって、孫たちに地獄の絵図を見せ、地獄の様相を語ってやろうと思いました。

 ちなみに、地獄には子どもはいません。子どもであるにもかかわらず死んだというので特に大きな重罪を背負い、地獄からも遠ざけられています。
 また極楽には一人の女性もいません。仏教はもともと男尊女卑の傾向を持っており、女性は女性であるというだけの理由で罪人ですので極楽に入れないのです。女性が極楽に行くときは男性に姿を変えます。
 その意味ではまったくつまらないところです。