四神

 言うまでもなく西洋では7という数字がラッキーナンバーとされ、東洋でもシャカが最初に7歩あるいて、というように古今東西「7」という数字は幸運の数字として使われる傾向があります。それはまさに、「古今東西」― 時間軸を表す「過去・現在・未来」の3と地平の広がりを表す「東西南北」の4をたした数だからだ、という説があります。それで人間世界のすべてだからです。

 その中の「東西南北」に四つの神を当てはめた「四神(しじん)信仰」(は、東アジアに特徴的な信仰で、生活の隅々にまで入り込んでいます。

 四神は青龍・朱雀・白虎・玄武の名で知られていますが、これらは方角で言えば「東・南・西・北」に、色で言えば「青・赤・白・黒」に、季節で言えば「春・夏・秋・冬」に、土地で言えば「川・池(沼または海)・大道・山」に擬せられます。

 私たちが聞きなれている「青春」という言葉は、青龍が青であり春を表すことから来ています。北原白秋という詩人の名も、これに由来するのでしょう。また、相撲が青房・赤房・白房・黒房の下で行われるのは、土俵が四神に守られているからです。

 そうなるともし、東に川があり南に池か沼があり、西に大道、北に山がある土地があれば、それは四神に完全に守られた土地ということになります。

京都はそういうところに設定されました。東に鴨川、南に巨椋池おぐらいけ:今はない)、西に山陰道、北に船岡山と四神に対応した(これを四神相応と言います)、土地が選ばれたのです。

 京都において感じるべきは、そうした霊的な存在を信じた古代に人々の心情です。

 講談の「東山三十六峰、草木も眠る丑三つ時・・・」の三十六峰は比叡山に始まる峰々ですし、一寸法師が鬼退治をしたのは東山の麓にある清水寺への道です。鎌倉時代にあって、五条大橋は刀を奪う僧兵強盗(武蔵坊弁慶)が常駐した場所として知られています。そうした何となくおどろおどろしい雰囲気の中に、古代から現代に至る人々が行き続けてきた、そんなふうに感じることこそ、古代へのロマンだと思うのです。京都に行く価値はそんなところにもあります。

 さていよいよ3年生修学旅行。私も本当についていきたいですね。

(この四神に関する知識、かつてはかなりマニヤックで私の得意とするところでしたが、コンピュータ・ゲームやアニメのおかげで、今の子どもたちの中にはとんでもなく詳しい人たちが出てきました。けっこう残念なことです。)