地球の北極点から南極点までの距離は2万キロメートルです。なぜそんなきれいな数字が出るかというと、そう決めたからです。今日、4月7日はメートルの誕生日です(1791年)。
その2年前にフランス革命があり、新政府は旧体制打破の一環として度量衡を作り直すことを考えたのですが、そのとき出されたのが地球の北極から赤道までの距離の1000万分の1を1メートルとしたらどうか、という考え方です。これが北極から南極までの1000万分の1や赤道の長さの1000万分の1にならなかったのは、持ち運びや取り扱いに都合の良い長さは、せいぜいがそんなものだからです。
最初、イギリスとも連携して事業を行おうとしたのですが、革命の波及を恐れるイギリス政府によって拒否され、そのために今日でもイギリスやアメリカ合衆国ではポンド・ヤード法が生活の主流になっています。
紆余曲折があってその後、1mは北極と赤道の距離の1000万分の1という定義からはずれ、光の速さと時間によって求められる長さになってしまいました。計算で求められる長さですので、誰にとっても同じ長さになります。
しかし数値だけではイメージがわきにくいので(ということかな?)、現実に存在する1mとして、1889年に30本のメートル原器が作られ、くじ引きで各国に配られました。完璧に同じ長さに作られたはずのメートル原器ですが、実はやっぱりすべて長さが違っており、原器の原器とも言うべきNo.6(国際メートル原器)に対して、日本がもらったNo.22は100万分の0.78m短いといわれています。
かつて日本のメートル原器は東京本所の通産省工業技術院計量研究所というところに保管されていましたが、1980年、研究所がつくば学園都市に移行したのにともなって原器もそちらに移りました。そのとき、振動による原器の狂いを恐れ、深夜静かに移行させたためつくばまで一週間以上かけました。私はそのときのことを良く覚えています。
ついでに、赤道の長さはほぼ4万キロメートルと覚えておくと、なにかと役にたちます。