言語表現のこと�A

 言語表現の内容を極限まで絞っていくと、結局は語の選択と組み合わせだということは以前お話しました。その前者、「語の選択」については、まずは圧倒的な言語体験(読書や会話)が必要となります。語彙が豊富でないと選択にならないからです。例えば「ほの暗い」と「暗い」の違い、「ほの暗い」と「ほの明るい」の違いは言葉で説明するのはかなり厄介です。こうしたものは繰り返し触れることで、その感覚を掴んでいくしかありません。

 しかし「語の組み合わせ」となると、読書だけでいいのか大いに疑問になります。と言うのは、Aという語があってそれを修飾するB、Cという二つの語がある場合、「A+B」「A+C」のどちらが分かりやすいか、より状況や感情を表現できているかは、試し、比較されなければならないからです。ここはどうしても実際に書いてみる必要が出てきます。その意味で作文指導は決定的です。しかし現在の学校の状況ではそこがうまくいきません。

 作文指導は最後はどうしても1対1にならざるを得ませんし、45分の授業を30で割れば、一人にかけられる時間はわずか1分少々です。見てもらっていない子の44分間は放り出されているも同じです。この問題をどうクリアするかが表現力指導では決定的な問題となりましょう。先生方はどうしていらっしゃるのでしょうか?

 そこで私は、毎日書かせている日記に注目します。日記の指導はどうしても生徒指導的になりがちですし、そこで文章の指導をしたりすると子どもはすぐに嫌になってしまうことは百も承知ですが、毎日毎日文章を書かせているのに日記で表現力をつける指導をしないのはあまりにももったいない気がするのです。

 まず最初は何を書かせるかです。

 私がやったことのひとつは、題名をつけさせることです。「今日見たこと」「今日やったこと」「今日思ったこと」「今日思い出したころ」「先生に聞いてもらいたい」そんなにふうに例示・選択させると、案外書きやすくなる子がいるものです。