カイト・カフェ

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「珍走団の話」~不良になるにも覚悟がいるダロ!

 少し以前の話ですが、年末のテレビで「警察24時」みたいなのをやっていて、その中に福岡(?)の暴走族というのが出てきました。
 暴走族の中核は6名ほどで、戦闘服を来てブイブイ、バイクを走らせるのですが、彼らが走って行くと街の辻々から支持者というか追従者が次々と出てきて、大暴走集団をつくるのです。
 ただ、昔の暴走族と決定的に違うのは、その追従者たちが全員スクーターなのです。それも流行りの大型スクーターではなく、町の小母ちゃんが乗っているような可愛いヤツです。

 中核のメンバーのバイク後部座席では、お決まりのように鉢巻の男の子がまたがって金属の棒を振り回しています。ナレーターに言わせると「鉄パイプを振り回しています」ということになるのですが、よくみるとそれは家庭用の物干し竿です。
 さらに番組の最後で暴走族のリーダーが逮捕されるのですが、数台の警察車両と何人もの警察官でという大掛かりな手配にもかかわらず、あっさり捕まり、しょんぼりとクビを垂れて警察署に引っ張られて行ってしまいます。
 私はそうした全部が許せない気がしました。

 真っ当な不良なら、スクーターの暴走も物干し竿もあるはずはないのです。警察に囲まれたら、とりあえず大暴れしなくてはなりません。

 かつての暴走族はどこか任侠の風を漂わせていました。昔の子どもだって金はなかったのに、何とか無理をして大型バイクを買い改造に精を出しました。警察と真っ向から喧嘩するつもりですから、本物の鉄パイプをビュンビュン振り回し、平気でパトカーをけったりしていたのです。

 不良なんてどちらも好きではありませんが、現代の暴走族に苛立つのは、そこに美学がなく合理だけがのさばっているからです。
 燃費の安い値段も手ごろなスクーター、伸縮式の物干し竿、無意味にケガをしたくないから素直に逮捕。

 別に立派な不良を育てようとは思いませんが、不良ですらこうです。子どもたちの病巣、日頃感じている以上に深いのかもしれません。