カイト・カフェ

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「ノストラダムスとアトムとーー」~世界は驚くほど進歩も変化もしなかった

 学生の頃熱心に調べたこともあって毎年12月14日になると「ああ、今日は赤穂浪士の討ち入りの日だな」と思うのですが、ふと調べものがあってついでにインターネットを見たら、なんと今日はノストラダムスの誕生日でもありました(1503年:フランス)。

 ノストラダムスといっても最近の人は知らないと思いますが、私が子どもだったころは「ノストラダムスの大予言」といった本が大流行で、知らぬ人などひとりもいなかったはずです。なかでも「1999年の7の月に、天からアンゴルモアの大王が降ってきて地球は滅びる」というくだりは衝撃的で、子どもだった私も、たぶんその年までは生きているだろうから予言の意味をじかにこの目で見られると、ワクワクしたものです。  

 ところが1999年が近づいてもそれらしい予兆はまるで感じられず、「大予言」の作者も「実は『大予言』の中に『人類はアンゴルモアの危機を脱して、7000年の先まで豊かに生きる』という予言があった」などと言い出して、99年を待つことなく、ノストラダムスの名は急速に忘れられていきました。結局SFのようなことは起きなかったのです。

 そう言えば「2001年宇宙の旅」(1968年)という映画が大ヒットしてから、私たちは21世紀になればすぐに背広で宇宙船に乗る時代が来るだろうと思っていました。また鉄腕アトムの誕生日は2003年4月7日ですから、その頃にはロボットは日常生活の中にあり、私たちはビニル・チューブのような道路の中を超高速の車で走っているはずだと単純に思いこんでいたのです。

 しかし科学は驚くほど進歩しませんでした。というよりは科学を進めるうちに、宇宙旅行とかロボットとかいったものがものすごくたいへんなものだと気づかされてきたのです。つい20年ほど前に読んだ科学的予言の書にも、医学の専門家たちの予想として2006年にはガンを根治する決定的な薬が開発されるはずでした。しかしそれもうまく行きませんでした。ちょっと残念ですね。
 現代の子どもたちは、未来にどんな世界を思い描いているのでしょう。