悪魔を育てる

 ネオンテトラという熱帯魚を40匹ほど飼っていた時期があります。その飼育し始めのある日、水槽の内側にきれいな透明のタマゴが数十個もついていることに気がつきました。うれしくてうれしくて、さっそく孵化用の箱を買って水槽に入れ、毎日うっとりと眺めていたのです。

 ところが何日かすると、そのタマゴが箱の内側を移動し始めたのです。さらに数日すると内側が茶色く盛り上がってきて、2週間もしないうちに小さな巻貝となって一斉に這うようになりました。水槽本体でも採取しそこねたタマゴが一斉に孵化して、私の美しいアクア・パークはゴミ溜めのようになってしまいました。どうやら買ってきた水草についていた貝が産卵したらしいのです。

 以前「托卵」の話をしましたが、ホトトギスに托卵にされたウグイスの心境も私と同じかもしれません。また、アメリカのオカルト映画ではしばしばそれと知らず、悪魔の子を産み育てさせられるという話が出てきます。わが子が犯罪者となってしまった親の心境も、それに似たものかもしれません。

 育てるべき資質と摘み取るべき資質を、見誤ったり見落としたりすると、おそらくそういうことになるという話です。