カイト・カフェ

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「記憶のモデル」~記憶というのは、きっとこんなふうなっているのだろう

 記憶というのはこういうもので、きっとこんなふうに覚えたり忘れたりするのだろうというイメージを表したものを、「記憶のモデル」といいます。そしてその代表的なものに、「短期記憶装置と長期記憶装置」というものがあります。

「短期記憶装置」というのは読んで字のごとく、電話番号を覚えてプッシュ・ボタンを押し終えると忘れてしまうような、ごく短いあいだ記憶を保持するような部分です。ワープロで言えば「コピー&ペースト」のコピーに当たります。

「長期記憶装置」はこれも文字通り「長期間記憶を保持する装置」ということで、いわばハードディスクのようなものです。

 この二つの装置の間には一方的に浸透する細胞壁のようなものがあり、例えば九九の「三二が六」を何回も「短期記憶装置」に出し入れしているうちに、いつの間にか「長期記憶装置」にしみこんで行く、とそんなふうに説明されます。

 人間の「長期記憶装置」はかなり頑固なもので、90歳の老人が10歳前後の記憶をすらすらと辿れたりするもの、この「長期記憶装置」のおかげです。
 また、「記憶力が悪い」と自認する人でも何かヒントを与えれば「ああ、そうだった」と思い出すのは、まさにこの「長期記憶装置」に「記憶」が残っていたことを示すもので、つまり悪いのは記憶力ではなく再生力なのです。インプットはかなりうまく行くのに、アウトプットに問題があるということです。

 ただし、年を取ってくると、そもそもインプット自体に問題があるのではないかと疑わしくなることが出てきます。ヒントを出されても答えを言われても「長期記憶装置」の中になく、「そんなこと、あったんかいな?」というような場合です。

 先日、テレビの映画劇場で「明日の記憶」というのをやっていて、その中で主人公の渡辺謙認知症のテストを受ける場面がありました。それとなく一緒にテストを受けていたのですが、私は映画の主人公と一緒に、最後のテストをクリアできませんでした・・・!