心の筋トレ

 

 骨折のあとが再びつながると、その部分だけ太くなることはよく知られています。筋肉も同じで、激しい運動で細胞が破壊されるとその部分がさらに強くなって再生されます。筋トレの仕組みはそういうものであって、破壊と再生が体を強くする基本的パターンなのです。

 しかしそうした肉体の成長・強化についてはだれでも知っているのに、心の成長を同じように考える人は案外少ないのかもしれません。私たち教員にとっては常識でも、一般には見過ごされがち、あるいは無視されがちなことです。

 ストレス社会と呼ばれるような現代にあって、心に病気を持つ人が増えてくると「がんばらない」「ゆっくり休ませる」「無理させない」といった言葉に価値が置かれ、「がんばらせる」「鍛える」「努力させる」といった言葉は後回しにされます。

しかし内容を再び肉体に戻せば、「がんばらない」「ゆっくり休ませる」「無理させない」は、私のような老人が「年寄りの冷や水」で急に運動を始めたりするときに使うもので、20歳未満の健康な子どもに使うべき言葉ではありません。子どものうちは心にも筋トレと同じように適切な負荷をかけ、破壊と再生の繰り返しによって鍛えていく必要があるのです。

 この基本的な原理は、繰り返し保護者に呼びかけていかないとすぐに忘れられてしまいます。なんといっても子どもに負荷をかけることは面倒なことですし、「がんばらない」「無理させない」といっていれば子どもとの関係はいつまでも蜜月だからです。しかしそれでは子どもは伸びないでしょう。

 こころして親を説得しましょう。