説得はできるのに、納得はさせられない

 さすがにこの歳になると酒の上での口論といったことはしませんが、若い頃はけっこうやったものです。ところが口角泡を飛ばしてバンバンやっていると必ず「まあ、まあ、まあ、いいから飲めって」とか妙にジジ臭い雰囲気で割って入ってくるヤツがいて(若いくせに)、議論を丸ごと消しにかかったりします。そんなことで潰されてはたまらないので、私はさらに熱くなってガンガン言うのですが、何度もしつこく割り込まれるとさすがに根気がなくなって、いつか諦めてしまいます。それがいつものかたちでした。

 私は、物事が本質的に片付かないことは好きではないのです。したがって問題を一つひとつ丁寧に潰していって、すべてがすっきりして勝つのが気持ちいい、そういう性質です。

 

 ところが世の中にはまったく反対に、問題を一つも解決しないのに、何となくうまくやってしまう人がいます。

 やくざの手打ちのように、「まあ、そういうことで(そういうことだ?)」とか言って「ヨ〜ッ」と言うと、それでシャン・シャン・シャン。私なんかまったく納得できずにイライラするのにだれも問題に思わないようで、妙にすっきりした顔をしている、そういうことがあるのです。

 考えてみれば難しい保護者との対応でも、私は相手の言い分の一つひとつを潰しては怨まれます。説得はできるのに、納得はさせられない、そういうことがしばしば起こるのです。