感情のホメオスタシス

 生物のもつ重要な性質のひとつで、「生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず、生体の状態が一定に保たれるという性質」を恒常性(ホメオスタシス)と言うのだそうです。たとえば恒温動物は気温の上昇などによって体温が上がりそうになると発汗や皮膚の血管の拡張によって体を冷やし、下がり始めると震えや代謝の亢進によって体温を上げようとします。病原菌やウイルスといった異物を排除したり、傷の修復といったこともホメオタシスの重要な働きです。

 そこまでが生物学の話なのですが、最近、心にもホメオタシスがあるのではないか、といった話を本で読みましたので紹介します。

 それによると、宝くじを当てた高額所得者も、それで生活を派手にするのではなく、いつの間にかもとの生活に戻ってしまう、というのです。下世話に「美人には三日で飽きる、ブスには三日で慣れる」と言いますが、どんなにすばらしいものを獲得しても、そうでない場合も、基本的には生活はあまり変わりないらしいのです。

 これを現実生活に当てはめてみると、どんなに欲望を遂げても幸福感に包まれたまま長くいることはできないし、どんな不幸にも私たちは慣れることができるということです。もちろん限度はありましょうが(肉体のホメオタシスも限界を越えて機能することはできません)、欲望は尽きないし、不幸にも底があるということになります。

 さて、そうしたことを前提にどう生きるか。子どもの人生を考える上でも大切なことかもしれません。