昨日のこと


 十数年前、愛知県の中学2年生大河内清輝君がイジメによって自殺し、マスコミが一斉に学校を攻撃している最中、テレビのバラエティ番組は平気で人をからかい、弄ぶような場面を流していました。私が覚えているのはドリフターズのコントで、父親の葬儀を扱ったものです。

 棺に横たわる父親役の高木ブーに対して、子ども役のいかりや長介たちが、泣きながら「お父さんはモズクが好きだったから」とか「カレーが好きだったから」とか言いながら、さまざまな食べ物を頭から掛ける、というものです。納豆だの生きた海老など際限なく浴びせて、我慢する高木ブーの表情を楽しむ下品なもので、見ながら私は無性に腹が立って仕方ありませんでした。一方でイジメを助長する者が、他方でイジメを防がなかった学校を非難しているからです。

 しかしその番組の最中、よく見ると中に一人だけ、別の仕事をしている人がいました。高木ブーの足元で嘆き悲しむ娘の役をしながら、それとなく海老の位置を変えたりモズクの固まりをずらして『お父さん』が辛くならないよう手配している女性がいたのです。

 飯島愛という人です。

 私はなんだかとても救われたような気がして、いっぺんに好きになりました。

 こうした気持ちの良い、頭の良い人がなぜ非行に走らなければならなかったのか、どこをどうすればよかったのか、自伝といわれる本を読んでもよく分からないところです。それとともに最近のこと昨日のことを思うと、幸せな子ども時代を送らなかった人は、結局はだめなのかもしれないと、そんな気もしてきます。

 今、目の前にいる子どもたちに、 私たちがしてあげられることは、たくさんあります。