生きる力をつける場


 先日の「国際数学・理科教育動向調査」(TIMSS2007)の結果をもう一度見直しているうちに気づいたのは、貧しい国の子どもほど「勉強は楽しい」と思っていること、そして貧しい国の子は極めて低学力だということです。そうした国では、高い学力など必要ないからかもしれません。

 TIMSS2007の結果が今言ったように「楽しさ」や「低学力」と「貧しさ」の相関を示しているのか、それとも先日言ったように「楽しさ」と「学力」の逆相関を示しているのか、どちらが正しいのかは判断の難しいことです。しかし、世情言われているような、「日本の子どもたちは『学力』は高いが、『勉強は楽しいと思っている』子は少なく、それは学校教育が『楽しい授業』をやっていないからだ」というのが間違いなのは確かなようです。

 ところで、かつて日本全体が貧しかった時代、貧困から抜け出す唯一の道が「学力」だったことがあります。だからたくさんの子が一生懸命勉強しました。しかし一方で、すべての子が勉強にむいていたわけではありませんから、「学力」を武器にできない子たちは、別なところで力をつけました。過酷な家内労働がそれです。

 勉強のできる子は勉強をしながら、そうでない子は家内労働を強制される中で、忍耐力や持続力、集中力や計画性、素直であることや常に努力することなどを学んできたのです。

 現代の子どもたちは「過酷な家内労働を通じて力をつける」という機会がありません。それどころか家庭内にほとんど仕事自体がないのです。

 私が、子どもたちにものすごく勉強させたいと思う理由のひとつがそれです。