カイト・カフェ

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「静止する筋肉」~落ち着かない子、だらしない子に必要なのは実は筋トレなのかもしれない

 結局あれは何だったのだろうと思うもののひとつに「ビンボーゆすり」というものがあります。今でも稀に足を小刻みに揺らす人を見ますが、以前はずっとたくさんの人がしていました。かく言う私も「ビンボーゆすり中毒」の一人で、足を止めているときの何ともいえない不快感、苛立ちは、今でも脳裏(と言うよりは足そのもの)に蘇ってきそうな感じがあります。

 20年ほど以前、新たに中学校1年生の担任になったとき、クラスに恐ろしく美しい男の子が二人いることに気づきました。顔の造作は大したことはないのですが、とにかく座っている姿が美しい。あとで聞くと二人とも長く剣道をやってきた子で、だから座る姿が美しかったのです。のちに試合をたびたび見ましたが、剣道というのは常にすっくりと背を伸ばしている競技で、美しくならないはずがないのです。

 さて、この二つの事実が表すのは何かというと、それは身体には姿勢を一定にとどめておくための筋肉があるということです。そうした筋肉自体があるのか、あるいは同じ筋肉の別の働きなのかは分かりませんが、激しく身体を動かすための筋肉と静かに留めおくための筋肉があるのです。

 教室の中にはしばしばじっとしていられない子がいます。年中身体を動かしていないと気がすまないような子です。一方、身体は動かさないもののいつも芯が崩れ、机に寄りかかったり上体が沈み込んでしまう子もいます。崩しているうちにいつか眠ってしまったりもします。
 こうした子に「集中力がない」「根性がない」あるいは「落ち着きがない」といっても、実は意味がないのかもしれません。彼らがないのは、もしかしたら静止するための筋肉なのかもしれないからです。

 もしそうだとしたら、話はむしろ簡単です。心を鍛える方法は確立していませんが、筋肉を鍛える方法はほぼ確立しているからです。要するに、筋トレをすればいいのです。二の四の言わず、じっと座らせて置きます。1時間の授業時間中、15分間のサーキットトレーニングを3回するだけでいいのです。
「キミは根性がない」と言われるより「筋肉がない」と言われる方が、きっと子どもも気が楽でしょう。
 いかがです?