カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「懲りない性格」~人間の本性はそういうものなのかもしれない

「結局、自分で懲りなきゃダメですよ」
 保護者の口からよく聞く言葉です。
 確かにそれはそうなのですが、懲りるときはたいてい手遅れですし、もしかしたら人間は、そもそも懲りないものかもしれませんから、あまり呑気に構えていられない問題かも知れません。

 ずっと昔勤めていた学校の校長先生から、こんな話を聞いたことがあります。まだ乳児のお孫さんが、ちょっと目を離すと階段を一番上まで登っていってしまい、そこで降りられなくて大声で泣いて大人を呼ぶというのです。
「何度やっても懲りずにまた登ってしまう」
 いかにもお祖父ちゃんらしい微笑ましい語り口調でした。しかし、それに続けて言った言葉が私にはとても新鮮した。
「しかし懲りられても困るしなあ」
 確かにそうです。こういうことに一度で懲りて、二度としないようではこちらが困るのです。

 寝返りを打ってうつぶせになったのがいやで二度としない、伝い歩きをしたら転んだので二度と立たなくなった……それでは子どもの成長はありません。懲りずに繰り返すから、結局できるようになるのです。人間は基本的に、好奇心に導かれて行うことは懲りないようにプログラミングされているのかもしれません。

 しかし、いつまでも同じ失敗を繰り返すようでは困る場合だってあります。
「転ばぬ先の杖」、教育者としては前もって準備し、失敗のないようにしておかなければなりません。
 もちろん、懲りないことが人間の本性なら、これは一筋縄ではいかないことですが。