カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「ビューティフル・ネーム」~名前を大切にすることの重要性

 昨日銀行に行ったところ、隣のお店からアルビノーニの『アダージォ』が流れてきました。これはフランス映画の「シベールの日曜日」(1962)の中で印象的に使われていて、一遍に好きになった曲です。

シベールの日曜日」の主人公は戦争で心傷ついた空軍パイロットですが、ふとしたことから修道院に預けられている少女の父親と間違えられ、そのことで少女と日曜日ごとに、外で会うことになります。それはまるで親子愛とも恋愛とも言えるような不思議な関係で、映画は全編その美しい逢瀬を描きます。
 そしてクリスマスの夜、少女はそれまで言ってなかった自分の本名を、彼にプレゼントするのです。それがシベールです。
 次の瞬間、変質者と間違えられたピエールは住民に殺されてしまうのですが、警察官に「君の名は?」と問われたシベールはこう答えます。 「もう、私には名前なんかないの。誰でもなくなったの」

 名前といえば、ミヒャエル・エンデの「果てしない物語」では、逆に主人公が女王に名前をつけることで病気から救い、王国ファンタージエンの崩壊を防ぎます。
 「千と千尋の神隠し」では、主人公の荻野千尋が湯婆婆に渡す契約書に、わざと違った字を書いて(「荻」の字の最後の部分を「火」ではなく「犬」と書いた)、そのことによって丸ごと自分を奪われることを回避します。

 私たちにとって、名前のないものはすべて存在しないものです。別な言い方をすれば、名前を奪われることは存在自体を奪われることと同じなのです。
 そう言えばこんな歌もありました。

今日も子どもたちは 小さな手をひろげて 光と そよ風と 友だちを呼んでる
だれかがどこかで答えてる  その子の名前を呼ぶ 名前 
それは燃える生命(いのち)  ひとつの地球に ひとりずつひとつ
Every child has a beautiful name  A beautiful name, a beautiful name
呼びかけよう名前を すばらしい名前を
Every child has a beautiful name  
A beautiful name, a beautiful name 呼びかけよう名前を 
すばらしい名前を どの子にもひとつの 生命(いのち)が光ってる                  
ゴダイゴ「ビューティフル・ネーム」)

 大事にしたいですね。