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「ディスレクシア」~欧米人に識字障害の多いわけ

 その出世作のひとつが『7月4日に生まれて』(オリバー・ストーン監督 1989)であるトム・クルーズは、実は今日、7月3日が誕生日です。

 私たち教員の世界では、公式の場で映画スターの名前が出てくることは滅多にないのですが、トム・クルーズだけは別格で、しばしば講演会などの席でも話題になります。 それは彼が読字障害(ディスレクシア:文字が読めない障害)であることを告白しているためで、LD(学習障害)を持つ世界的な有名人ということで、むしろそこから彼の名を覚えた教員も少なくありません。

 ただしディスレクシアを持つ有名人はトム・クルーズだけでなく、『パイレーツ・オブ・カビリアン』のジョニー・デップを挟む両側の二人、オーランド・ブルームとキーラ・ナイトリーも告白しています。

 現大統領のジョージ・ブッシュも大学時代の愛読書が「はらぺこ あおむし」だと言ったり、「IAEA」「CATV」といった略語に極端に弱いところから、ディスレクシアが疑われています。
 またアインシュタインがそうだったという説はかなり信じられており、日本では学習障害の団体の名に「アインシュタイン」をつけているところが少なくありません。

 そもそも英語圏、特にアメリカ合衆国では15%が何らかのディスレクシアを持っているとされていますから、調べていくとどうしても「あの人も、この人も」といった感じになります。実際、日本語に比べて、英語の文章表現はとても難しいのです。

 日本なら鼻濁音などを合わせて160種類もあるひらがな・カタカナ、そして常用だけで2000余りもある漢字をあわせてようやく行う文章表現を、たった26文字のアルファベットでやろうとするから当然難しくなります。

「R(アール)」と「E(イー)」と「A(エー)」と「D(ディー)」が並ぶと「READ(リード)」になる不思議と困難は、日本の中学生もアメリカの小学1年生もまったく同じなのです。

 漢字の多さを嘆く中学生に、そう言って慰めてあげたことがありました。