今日６月１６日は世界初の女性飛行士、テレシコワ（ソビエト連邦）が宇宙を飛んだ日です（１９６３年）。
ガガーリンが世界初の宇宙飛行士となった時（１９６１年）の有名な台詞は「地球は青かった」ですが、テレシコワの一世を風靡した言葉は「私はカモメ（ヤー・チャイカ）」です。それを長いこと、私はテレシコワが「私はカモメのように宇宙を飛んでいる」と語ったと思っていました。ところがそれは、チェーホフの有名な戯曲「かもめ」に繰り返し出てくる言葉だったのです。
「かもめ」の中で、主人公のトレープレフは撃ち落したカモメをヒロインのニーナに送り、こう語るのです。
「いまに僕は自分を撃ち殺すんだよ。こんなふうに。」
この「ヤー・チャイカ」は、ロシアでは「吾輩は猫である」と同じように有名な言葉らしいのです。
これだけでも面白いのですが、それを知ってからさらにしばらくして、「チャイカ」が実はテレシコワのコード・ネームだったことを知ったのです。
つまり、テレシコワはオリジナルでロマンチックな言葉として「私はカモメのよう宇宙を飛んでいる」と言ったのでも、有名なチェーホフの台詞を言ったのでもなく、単にコード・ネームで応答していたに過ぎないのかもしれないのです。
「こちら、カモメ・・・・こちらカモメ」
（多分それが正解でしょう）。
学ぶということはこんなふうに、本来は果てしなく楽しいものななずなのです。
